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名前を呼びたい ページ4

朝練を終え教室へと行けばいつも通り東雲は席に座りながら本を読んでいた。

タイトルは難しくて俺にはまだ読めない。


「よっ!」


「あ、切原くん。おはよう。」


「今日は何もテストとかないよな?」


俺の質問に東雲は「ないよ」と笑った。
そういえばこいつと出会って仲良くなって結構経つけど…俺、まだ名前で呼んだことないな。

いつもは呼び方なんて気にしたことねぇけどこいつには苗字じゃなくて名前で呼ばれたいし、俺も呼びたい。

よし、そうと決まれば…。


「なぁ、東雲。俺ら1年生からの付き合いじゃん?」


「そうだね。突然どうしたの?」


「あー…えっと、お前の名前ってAだったよな。」


「うん。」


「…俺の名前分かるか?」


ドキドキと胸が高鳴る。
俺の名前忘れられてたらどうしよう…、そんなドキドキだ。


「えーっと…」


言葉を濁し苦笑しながら俺を見る東雲。
その様子から東雲は俺の名前を覚えていないことが分かる。


「俺の名前は」


赤也だっつーの!と言おうとした瞬間、東雲が少しだけ意地悪そうな笑みを浮かべた。


「赤也くん。でしょ?」


「っ…俺、騙された…?」


「ごめんなさい。少しだけイタズラしたくなっちゃって。えへへ…。それで名前がどうしたの?」


「今日からさ、俺ら名前で呼び合わないか?ってか俺はお前のこと名前で呼びてぇ!頼む!」


勢いよく頭を下げれば東雲の慌てる声が聞こえた。


「き、切原くん!頭を上げて。ね?」


「けど…」


「赤也くん。お願いだから頭を上げて。」


名前を呼ばれ嬉しさに思わず顔を上げると少し困ったように笑う東雲と目が合った。


「私たち友達でしょ?だから名前を呼ぶのに頭を下げてお願いしなくて大丈夫だよ。赤也くん、私の名前も呼んでくれる ?」


「おう!A!!」


「えへへ。少しだけ照れるね。」


照れて笑うAは可愛くてちょっとだけこいつを困らせようと授業が始まるまでAの名前を何度も呼んでいると思い切り頭を叩かれ後ろを見れば何故か真顔の仁王先輩が立っていた。
俺の頭を叩いた先輩はAに挨拶をすると何か袋を渡して教室を出て行った。

俺何で叩かれたんだ…?
その疑問は放課後になっても解決することはなかった。

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マグロ(プロフ) - 春休みになったので更新できる!と思った矢先に交通事故に遭いまして更新出来る状態ではなくなってしまいました…。なんとか春休み中に進めたいところです…。 (2020年3月3日 0時) (レス) id: 8bf598364a (このIDを非表示/違反報告)
マグロ(プロフ) - 全然更新できず申し訳ないです…これからも亀更新になってはしまいますが完結まで絶対に終わらせるつもりはないのでよろしくお願い致します! (2020年1月3日 22時) (レス) id: 14d6a3a155 (このIDを非表示/違反報告)
マグロ(プロフ) - たかみんさん» ありがとうございます!これからも更新頑張るのでよろしくお願いします!! (2019年9月10日 21時) (レス) id: 867c37b696 (このIDを非表示/違反報告)
たかみん(プロフ) - 続き楽しみにしてます! (2019年8月18日 17時) (レス) id: 97bce99ed8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マグロ | 作成日時:2019年8月7日 0時

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