部外者�� ページ19
ｼﾞｼﾞｯ…
耳にある無線のイヤホンが音を鳴らし私は下へ降りる足を止めた。
お、キタキタ。
私は会話をしっかり聞くためにイヤホンに手を当てる。
「叶永先輩、今日もお仕事お疲れ様でぇ〜す♡」
「友里那ちゃんも応援お疲れ様」
ドリンクボトルを洗っているのか水が流れる音が聞こえる。
「さぁて…監督もコーチも先に帰ったみたいだしやるなら今ね」
「なに…?」
おっと?ここで?定番の???
「ふふっ♡」
華園の気色悪い微かな笑い声が聞こえて、
ｶﾁｶﾁｯ
って刃を出す音が聞こえれば…!?
ｸﾞｻｯ
「きゃああああ──!!!」
カッターキャーの出来上がり♡
ｶｼｬﾝ
「これで叶永先輩がやったってみんな信じ込みますよねっ…♡」
「は…?」
今の音…華園がカッターを夢咲の足元に投げたのか。
はっ、やるねぇ。自作自演お疲れ様ぁ〜。
そして華園の悲鳴を聞きつけて多くの足音が2人の元へやってくる。
「どうしたの!?」
徹、はじめ、貴大、一静、矢巾、金田一…
そして少し遅れて渡、国見が駆けつける。
私も遠くから見てようかな。
階段から降りて賑わっている所とは反対の扉に寄りかかる。
「とーる先輩っ…」
そう言って華園は力が抜けたように地べたに座り込む。
「うっ…ひっく…あのっ、先輩がぁ…きゅ、にっ!!」
華園は泣きながら駆けつけた部員達に向かって訴える。
へぇ…結構演技派なんだな。
てか手首から血だらだら出てっけど大丈夫?
痛くねぇの?w
「…っ、!!友里那ちゃんなに言ってるの!?あなたが勝手に…!!勝手にっ、1人でっ!!!」
夢咲が珍しく叫んだ。
はー、そんなでけぇ声出るんだ。
「叶永、落ち着いて。とりあえず今は止血が優先だよ。終わったらちゃんと話聞くから」
徹が夢咲の肩に手を乗せそう言うと国見が部室へ向かって行った。
お、国見ああいうタイプじゃないと思ってたわ。
「救急箱!!誰か持って来てくれるかな?」
「今、国見が取りに行ってます!!」
徹の言葉に矢巾が答える。
そして国見が救急箱を手に持ち戻って来た。
「ぁ…くにみ、くん…ぐすっ…ありがとぉ、!」
ボロボロ零れる涙を拭きながら華園は国見を見て言う。
「別に。ずっと泣かれたままじゃ鬱陶しいから」
国見って昔から結構毒のあること言うよな。
嫌いじゃない。
華園の止血も無事に終わり沈黙を破ったのは…＿＿＿
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作者名：麻香 | 作成日時：2017年8月10日 6時
