部外者�� ページ17
それから数分後、華園が遅れてやって来た。
「遅れちゃってごめんなさぁ〜い!!ちょっと先生に手伝い頼まれて遅くなりましたぁ…」
肩で息をして膝に手をついて華園は言う。
……わざとらし。
「ふーん、そっか。まぁ、なんでもいいから準備してねー」
ボールを指先で器用に回しながら言う徹。
「はいぃ…じゅ、準備しますっ!!」
パタパタと走り更衣室に姿を消した華園。
「ボールを回してる及川さんかっこいい〜!!」
「それなー!!」
「いっそボールになりたい〜」
「わかるぅ〜!!」
と、いつものギャラリー達の会話が聞こえてくる。
いや、ボールにはならないほうがいいぞ。
アイツのサーブぜってぇ痛てぇもん。
……それにしても今日は本当にギャラリーの数が少ないな。
ざっと20人もいないぐらいだな。
なんかライブでもあんのか。
「「「及川さーん!!頑張ってぇ───!!!」」」
人数が少なくてもこの声量…
すげぇな()
喉枯れないのかコイツら……
「はいはーい!ありがとね〜!!」
黄色い歓声を浴びた張本人はいつもの営業スマイルで答える。
「「「ｷｬｱｱｱｱｱ!!!今日も笑顔が眩しい!!!」」」
……そうか?
「ﾌｯ…」
うわ、なんか今鼻で笑われた気がする。
そんなアイツに向かって私は両手の中指を立てた。
「おーおー、今日も清々しい程嫌われてんなぁ」
「ここまで来るとコントに見えんな」
と笑いながら一静と貴大が徹の傍に来る。
「ねぇ、あの子いつも来てるけど…誰のファンなの?」
「応援してるところいっかいも見たことないよね」
「今だって及川くんに中指立ててたし…」
「なにしに来てるんだろう…」
なにしに来てるかって?
そりゃあ…ね?
バレーより面白いものを見に来てるんだよ＿＿
と言う意味を込めて目だけを彼女達に向けた。
「ひっ…!!」
「こっち見てるっ…」
「こっわ、!!」
「なにも言わない方がよかったかな…?」
『ここにいちゃ…悪いか?』
手すりに乗せた肘で頬杖をつき彼女達をしっかりと目で捉えて舌を出す。
「「「ひっ…」」」
肩を震わせ私から距離を取る。
『別にアンタ達に迷惑かけてないからいいだろ?
……仲良くしよーぜ♡』
なんて。
仲良くしようだなんて1mmも思ってないけど。
「あーあ…自分の存在あんまり公にしたくないくせに。いいのかな〜……」
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作者名：麻香 | 作成日時：2017年8月10日 6時
