桜桃フレーバー《桃》

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目に留まったのは、大きめのぬいぐるみ。
こんなの持ってないから、
300円で取れるなら欲しいなぁ…
なんて思うけど、絶対大変だし、子供っぽいって思われる。
意外とこういうぬいぐるみは今でも大切に飾るし、可愛いから好き。
でも、歳も歳だし。




「無いですよ！」

「えっ、じゃあテキトーに取るね！」





他の所行ってしまった山下くん。
みんなばらけてなんとなくそこの前で立ち止まってる。

「やっぱり、欲しいなぁ…」




「え、望帰らんの？」

「別に暇やし、」



藤井くんの会話が聞こえて目を向けると、
私の横に立った小瀧くん。




「なんでおるん？」

「えっ、あ、小瀧くんが事故ったって言われて…」




咄嗟に答えてしまって、「やってしまった！」と思った。
そのまま無言でお金を入れる小瀧くん。




「あいつら後でしばく。」

「…いや！勝手に私のせいだと思って来ただけで、」


素直に言葉を並べると、小瀧くんは黙ってしまった。




「…あぁ」


微妙な反応。
若干引かれてるんじゃないかって不安になる。



「あ、山下！また取れたんお菓子」

藤井くんがそう言うと、

「はい」って笑顔で渡してくれる山下くん。
なんか申し訳ないな、私ばかりもらっちゃって。


「山下、俺事故ってへんけど」

「あ、小瀧聞いた？ごめんごめん！」


って笑うと軽く叩かれてて、やっぱり小瀧くん優しい。
本気で叩いたりしない。


「あの、そろそろ…」

って言うと、最初のメンバーに「えー！」ってショックがられてなんか嬉しい。
そんな人達を引き剥がして前に出てきたのは藤井くん。


「じゃ、またねAちゃん」

気づいたら1時間は経ってて、私も塾に行かなきゃだめで。
皆私に手を振ってくれて、慌てて頭を下げる。

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