桜桃フレーバー《桃》

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あぁ、やってもうた。
なんやねん、とりあえず熱に感謝。



「…」


さっきからずっと無反応はきつい。
離すに離されへんし。



「…ごめんね、」

「え」


ちょっと鼻をすする音が聞こえるから顔を覗き込めば、案の定泣いてる。


「私勝手に、嫉妬しちゃって
この前、女の人といたから…飽きられちゃったのかなぁって」



本人は止めようと頑張ってるけど、
溢れてくる涙。

あぁ、俺のばか。



「重たくて、ごめんなさい…」

「…ちょっと、待ってっ」


反転させれば、
どんどん赤くなる彼女の顔に、優しく頬に手を添える。


「あ、風邪…移すわ。」


危ないな、俺。
仮にも熱やろ。

冷静になって彼女から目を逸らす。

「大丈夫、私もっ
したい…」






俺に両手で顔包まれたまま、目を閉じた彼女に
心臓口から飛び出るくらいびっくりしたし、持ってかれた。
え、何この状況。



「ん」


さすがに口は我慢。
前髪を上げて、音を鳴らしてキスを落とす。



「…ありがとう、」


ゆっくり目を開けて、
そう言って嬉しそうに笑って見上げられたら、
男はみんな我慢できひんやろ。



「っ、いやあかん。」



何なん、今日は俺の熱が高過ぎて夢みてるのか、
それとも彼女が可愛すぎるのか。




「流星…め。」


流星の電話の意味がやっとわかった。



「藤井くん？」



そんな事、顔真っ赤にされて言われたら…な？
他の男の名前とか、ていうか流星やけど。


「ん、うるさい。」



そう言って、キスすれば俯くから
どうしたらいいかわからんくなる。
ただでさえ、熱で頭どうかしてんのに。




「望くん、寝た方が…」




彼女の言葉を遮って、後頭部を引き寄せて、もう一度キスをすれば、
焦ったようなそんな表情。



「俺の事、好き？」



そんな事訊くキャラちゃうのに、
逃げられないように腕で彼女の両側をまたホールドすれば、
困ったように目を泳がせる。




「…すき。」


「え…なんて？」




聞こえてるけど、Aの反応が可愛くて
もっと見たくて、意地悪する。




「だ、大好きっ」



そう言って顔を上げた彼女にもう一度だけ、と自分に言い聞かせながら、
軽く口付けをして、おでこをくっつける。




「…ごめんな、不安にさせて」

「え、全然っ」


俺の腕の中で抵抗もしない、可愛すぎる彼女に
止まらなくなりそう。




「…移ったら、お見舞い行くわ」

「えっ、あ…」


何度もしたキスを思い出したのか、
彼女の顔は俺と同じくらい熱かった。

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