La ｆｉｎｅ10 ページ10
「………全部教えろ。てめぇのことを」
自分でも、何を言ってるか分からなかった。
ちゃんとこいつには……伝わったのだろうか。
『……分かってます』
クスリと女は小さく笑う。
すると俺の方に向けていた顔を、窓の外に向けた。きっと視線の先にあるのは綺麗に輝く満月であろう。
『まず、私の名前ですね。私の名前はAって言います。生まれは日本ですが、育ちはイタリアです。父が日本人、母がイタリア人のハーフで、歳は………分かりませんが、たぶん２０くらいだと思います』
日伊のハーフ、歳は二十歳前後、そして名前は………、
―――A。
たったそれだけの情報でも、俺はうれしかった。
……何故俺はうれしいのだろう。ただたんにちょっとした情報なのに。
俺はそう考えながら女の話を黙って聞いていると、女は一度だけうつむき、もう一度顔を上げると静かに口を開いた。
『………私の母はある王族の間に恵まれた長女でした。母には歳の離れた弟が二人いたそうです。まぁ、父から聞いた話なので、名前とかは知らないんですけどね』
顔をこちらに向け、申し訳ないとでも言うようにAは笑うと、また窓の外にへと顔を向けた。
『ある日、母は国の見回りをかねて町に降りたらしいんです。するとそこである旅人と出会い、恋に落ちました。……その旅人が、私の父でした』
そういったAの横顔は、どこか悲しそうで……切ない表情を浮かべていた。
『でも、身分の違う二人の恋は誰にも許されなかったんです。それでも父に会いに行きたいと言い張る母は、自分の部屋に閉じ込められてしまった………そんなある日、父が母のもとにやってきて、こういったんです。「一緒に日本に行って、幸せになろう」……って。その言葉を聞いた母は、その日の夜に城から姿をくらまし、父と一緒に日本に飛び立ちました』
まるで昔のおとぎ話のように、Aは自分の両親の事を話し続ける。
『日本で暮らし始めて数か月後、母の体に異変が出始めました。いきなり目が見えなくなったんです。その時母はまだ２０歳で、ちょうどお腹には……私を、身ごもっていました』
一つ息を吐く。そしてまた口を開いた。
『２０歳という若さで私を生んだ母は、その目の病の事もあり入院をしたままでした。父は毎日、生まれたばかりの私を連れてお見舞いに行ったそうです。まぁ、私は覚えてないんですけどね……』
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百合異乃(プロフ) - この作品、すごく楽しく読ませて頂いてます!!更新頑張って下さい！ (2015年6月6日 22時) (
レス) id: f4284e7a16 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 初めまして！ すごく面白いです！！ ザンザスの素直な気持ちが出てて読んでて楽しいです！ 更新楽しみにしてます！！ (2015年1月24日 19時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀iove - 面白かったです＾＾最新楽しみに待ってます!! (2014年9月1日 10時) (レス) id: eb2b47b9ce (このIDを非表示/違反報告)
MiA - この小説がスゴく好きです。ずっと応援してます!!! (2014年6月22日 21時) (レス) id: 9f43537076 (このIDを非表示/違反報告)
エリザベス女王１５８世(プロフ) - ボカロ隊長＠タピオカさん» え、何言ってるの？全部だよ(｀・ω・´) 私の主は全てが最高なんです！ (2013年11月6日 15時) (レス) id: e4f608cc50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ボカロ隊長＠タピオカ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/bokarotaityou/
作成日時：2013年10月21日 19時
