小枝で魔王を倒す ページ27
竜矢side
入り口、入ってすぐに震えは尋常じゃない。
今にも崩れ落ちそうな体。
支えているのがやっとで、
歩き出すなんて無理だった。
勢いで言ったものの、
俺にとってこんな無謀な事は無かった。
どれぐらい無謀かって、
Lv1の勇者が裸&武器は小枝で、
魔王に挑むようなもの。
仮面男「大口を叩いた割りには、
呆気なくリタイアかな?」
『リタイア出来るなら、したいよ。
怖いし、嫌だけど、。
ここで頑張らなかったら、
アイツら、お前の者になるんだろ。
それだけはゴメンだからな。』
仮面男「じゃあ、口のロープを外してあげよう。
照くんのミッションをクリア出来たご褒美だよ。」
パチンと指を鳴らすと、
暗闇の奥から、
岩「竜矢ー!!!!」
深「俺達ここに居るよー!!」
佐「早く迎え来てー!!」
阿「大丈夫ー?」
渡「早く来てー!!何かいるー!!」
宮「待ってるから、落ち着いて。」
向「めっちゃ怖いねんけど!!!」
目「ゆっくりで大丈夫だから!」
ラ「怖いよー!!!!早くー!!」
声が届く。
絶えず俺の名前を呼んでくれている。
尋常じゃなかった体の震えも、
汗も、呼吸症状も、全部大丈夫になった。
体が声の聞こえる方へ歩いて行く。
しばらく歩いていると、
九つの人影が暗闇の中に現れる。
それは、俺にとっての光。
『大丈夫?来たよ。』
岩「全員運び出したら、終わりだ。
頑張ってくれ、竜矢。」
『照、辰哉、涼太、蓮、ラウ、康二、
しょうた、大介、亮平の順番で運ぶから。』
コクリと頷いた気がしたので、
照をお姫様抱っこで運ぶ。
手も足も縛られてるみたいだし、
身動き取りづらいだろうと思い、
この運び方なんだけど、
ピクリとも動かない照に少し心配になるが、
暗闇では顔は見えない。
外に出ると、眩しさに目が眩む。
それぞれのメンバーカラーの椅子。
その横のテーブルにはナイフがあった。
小さなサバイバルナイフだ。
『動くなよ。』
黄色の椅子に座らせ、
手首と足首の紐を切る。
腕時計を見ると、あと一時間程しかない。
また暗闇に戻る。
声が聞こえなくても、
そこにいるって知ってるからなのか、
体が震える事は無かった。
次々とメンバーを運びだし、
最後の亮平を椅子に座らせたその瞬間、
ちょうどタイムアップ。
その時仮面男と同じ格好をした、楓が現れた。
楓「ミッションクリアおめでとう。
特効薬の大事さを再確認出来たでしょ?」
『感謝したいけど、したくねぇ。』
矛盾を抱えながら、
俺への試練は幕を下ろした。
159人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
氷牙 - 黎音さん» 直させて頂きました!ご指摘、ありがとうございました! (2021年1月18日 22時) (レス) id: f9e508b53a (このIDを非表示/違反報告)
黎音(プロフ) - 10問10答の第1問の所第1門になってますよ (2021年1月18日 20時) (レス) id: 68aa2fde0c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ