やぶくんとひかるくん【３】（短編集）

きみだから。 ページ18

薮side




｢ただいまー｣




玄関から聞こえる、ひかるの声。





『おーお帰り！』


｢………うん｣



ん?……なんかひかる、いつもと少し違くない?

根拠とか、そういうのはないけど…
直感でそう感じた。


“うん”って言葉も、
少し歯切れが悪かった…気がする。




『…ひかる、なんかあった?』


｢へ?(笑)なんもないよ?｣



なんのこと?って笑って、そのまま
自分の部屋に入ってったひかる。


………やっぱり、可笑しい。



いつものひかるだったら、
自分の部屋に入っていくなんて絶対ないし…


仕事でなんかあったのか?



ってか…ご飯ひかるが作ってくれないと
俺が作ったら悲惨なことになっちゃう……




『ひかる〜〜〜?起きてる?』


｢…………………ぅん…｣




ひかるの部屋の前で話しかけてみたけど、

返事はなんだか元気が無くて
聞き取るのもやっとなくらい声が小さい。



なにがあったのか聞こうと思ったけど、

きっと1人にさせてほしいときもある…よな?



この調子じゃ夕飯も作れないよなぁ…。




『………コンビニで夕飯買ってくるね?』





たまには、こういうのもいいだろう。



毎日 夕飯はひかるに作ってもらってるから
そりゃ疲れも溜るだろうし…ね。




『行ってきま〜す』


｢……………｣




やっぱり…どこか可笑しい。


体調でも悪いのか?



朝はなんともなかったのになぁ…




少し…いや、かなり心配になりながら

玄関のトビラに鍵をかけた。

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