やぶくんとひかるくん【２】（短編集）

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薮side



その写真は伊野尾とひかるが
ハグしてる写真で。




それに続けて伊野尾が


“ひかるが抱きついてきたんだけどどうした？もしかして、上手くいってないなら奪っちゃおうかなぁ〜”




って送ってきて。





｢ ふざけんなよっ...！ ｣





冷静になれば俺もひかるから抱きつくわけないとか
そういうことが考えられたんだろうけど



今の俺にはそんな余裕もなくって。







伊野尾から送られてきた




“ひかるが抱きついてきた”





という言葉だけがずっと頭の中を回っていた。




もう、今までの不安とかが自分のなかで
爆発しそうだった。




もう、限界だ。







そう思ったとき、



そんなとき、俺の大好きな...
ずっと聞き慣れてきたひかるの声が聞こえた。




俺は返事をすることもできなくて。





ひかるは、そんな俺を不思議に思ったのか
リビングに入ってきてすぐに




『 やぶ...？ 』





と話しかけてきた。




俺はこれ以上しゃべったら全部、吐き出してしまいそうで
それで重い男とか余裕ない奴とか思われたくなくって




とっさに


｢ ん？あ、ひかる。帰ったんだ。んじゃ、おやすみ〜 ｣




って言って寝室へとむかった。



ひかるは驚いて、


｢ え?! ｣なんて言ってたけど、聞こえないフリ。





今日は“おやすみのチュー”もしなかった。







｢ 初めてだな、こんな日... ｣








こんなに余裕なくして切羽詰まってる俺、
ちょーだっせぇ。



だけど...それほど、ひかるが大切なんだよ...




伊野尾のところに..、お願いだから

行かないで。





そんな自分勝手なことを願いながら

俺は目を閉じた。

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