やぶくんとひかるくん【２】（短編集）

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光side



｢ひかる…お前、勘違いしてるよ｣


『え…？なにが…？』


俺が勘違いしてるとか…、
いきなり伊野ちゃんは何を言い出すんだよ？


｢明日は、なんの日？｣


『普通にクリスマス…だけど。』


｢そうだよ｣


『だからって…何があるんだよ？』


｢それは………｣



そこから先が1番気になるのに、
いくら聞いても教えてくれない伊野ちゃん。


なんだよ…

薮も伊野ちゃんも、2人ともなにを考えてるのか
まったく分かんねぇ。


｢とにかく、薮はひかるのこと
すっげぇ大切に考えてる。

何も心配することなんてないから。

だから…泣くなよ｣


『そう…なの？』


｢うん、そうだから…。じゃあ、また明日｣



結局 肝心なことは何も教えてくれずに
伊野ちゃんは薮が待っているであろう、

自分の家に帰っていった。



俺も自分の家に帰って、ベッドに横になって
伊野ちゃんが言ってたことをもう1度考えてみるけど、

さっぱり分からない。


薮のことなのに…全然、分からない。


明日はクリスマスだけど…
それ以外になにがあるのか？

まさか、俺が言ってた“結婚”について…？


…いや、でもそれはないな。


だって見るからに薮は乗り気ではなかったし。


考えれば考えるほど、
分からなくなっていく。


『あーーー…ほんっと、なんなの…』


そう呟いたと同時に鳴ったLINE。

それは薮からのメッセージで。


“悪い。やっぱ帰れなそうだから…
ひかるは先に寝ててね？おやすみ。”



…要するに、今日も伊野ちゃん家に泊まるってこと？

やっぱり…不安になってしまうし、
悲しいし、…泣きたくもなるけど。


薮のこと…信じよう。


何があるのか、全然分かんないけど
絶対…明日になったら帰ってきてくれるから。


だから、それまでの我慢。


そう思って、俺も薮に

“おやすみ”って返して眠りについた。

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