やぶくんとひかるくん【２】（短編集）

Marriage（前編） ページ41

※クリスマス・イブという設定です。


光side




『俺と薮は12月25日のクリスマスに結婚します』




俺がコンサートのMCでそう言ったら
予想以上にみんな大盛り上がりで。



コンサート後の舞台裏でも、



慧｢結婚報告までしちゃって？
見せつけんなよ〜笑｣


裕｢で、結局 苗字は？！？｣


知｢こーたとヒカが結婚しても、
また一緒に僕とご飯食べに行ってくれるよね？｣



って、みんなの口は止まらなかった。


…ある1人を除いて。




チラっと横目で薮のことを見る。


ソイツはなんにも気にしてないような感じで
ツアーTシャツを脱いで
もうシャワーを浴びようとしていた。



『やっ…やぶ待って！』


｢…ん？なんかあった？｣


『あの…けっ…結婚…、』


｢…？誰か結婚すんの？｣



…違う。そんなんじゃねぇよ…。



俺が…結婚するって言ったことに、
少しでいいから触れて欲しかったのに。



軽くスルーされてしまった。




…そうだよな。これが当たり前だ。


俺らの恋愛は、世間的に見たら
変わってるから…

認めてもらえない可能性のほうが高いから


…少しでも薮の隣にいていい“証拠”が
ほしかったのにな…。



そんな虚しい想いをしてから、
どんどん日々は過ぎていって…。


今日は、クリスマス前日の
クリスマス・イブ。



きっと薮は忘れているだろうけど、
俺は忘れられなくて。


だから明日は、俺にとってはすごく大切な日。


薮にとっても大切な日になればいいけど、
今、俺の隣に薮はいない…。



俺が結婚報告をしたあの日から、
薮は少しずつ俺から離れていって…

最近は伊野ちゃんと仲良くしてるところを
よく見るようになった。



よほど楽しいのか、ここ最近 薮は
4日も伊野ちゃん家に泊まり込んでいる。



『伊野ちゃんと何の話してんの？』


って聞いても、


｢あー…。光には関係ねぇから大丈夫。｣



って言って絶対に答えてくれない。



薮は結婚なんか望んでなかったのかもしれない。

だから、俺が『結婚』って言ったから
それは嫌だと思ってどんどん離れてくの…？



たまに構ってくれるときもあるけど
それだけじゃ足りないよ…

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