やぶくんとひかるくん【２】（短編集）

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光side



「うぉっ？！…ひかる？なんかあった？」



なんだか凄く驚いているけど、
俺が電話をかけた瞬間出てくれた薮。




2週間ぶりに耳元で聞こえる薮の声に、
胸が苦しくて…

全然、大丈夫なんかじゃねぇよ…。


だけど、俺の口は素直に動いてくれなくて。




『あ、…間違えた。』

｢へ？｣

『これ、間違え電話。』

｢…そっか。じゃあ…切る？｣




『切らないで』って言いたいけど、
もう声を出せなかった。

薮の声を聞いたら今まで我慢してきた
‘’寂しい”感情が一気に押し寄せてきて、


声だけじゃなくて、


触れたくてしょうがなくなってしまって、


気がつけば俺の頬を一筋の涙が伝っていた。




だけど、そんなこと知らない電話越しの薮は

｢ひかるー？｣なんて呑気に話してる。



声を出したら泣いてることがバレてしまうから、
必死に唇を噛んで我慢する。



｢ひかるぅ〜？どうした？｣

『っ…うっせぇっ…!』

｢……ひかる…、もしかして…泣いてる？｣



だけど、俺の懸命な努力も
薮相手には叶うわけもなく。




『悪いかよっ…』

｢いや、別に？…ドラマでなんかあったの？｣

『っ…そんなんじゃねぇよ…』



“じゃあ、どうしたの？”って聞いてくる薮。

気づけよ、バカ……



｢ひーかーるーー？｣



〜〜もう！！言っちゃえ！！！



『やっ…薮に会えなくてっ…寂しいんだよっ！！
分かれよ、ばかやぶ！！！』

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