やぶくんとひかるくん【２】（短編集）

_３ ページ37

光side



あの後も、筋トレしたりランニングしたり
いろいろ試してみたけど…、




『薮の走り方ってまじ面白いんだよなぁ』

『薮も筋トレ始めようかなぁって言ってたなぁ』

『薮ちゃんと家の掃除してるかな？』



結局、俺の頭の中は薮ばっかり。



もう…こうなったらアレを見るしかない。

本当は使うつもりなんてなかったけど…。




俺はキャリーバッグからある雑誌を取り出した。



『カッコいい…』



金髪にした髪、長いまつ毛、綺麗な歯並び、
筋肉あんのか？ってくらい細くて長い足、

全部…薮のぜんぶがカッコいい。



『やぶ…好き。』



俺以外の誰もいない部屋に消えてく声。



『会いたいよ…』


もちろん、そんな願い叶うわけないことなんて
自分が1番分かってるけど…

1ヶ月なんて、長すぎるよ。



雑誌だけじゃ足りなくて、
コンサートのDVDを見ることにした。



『あ…、ファンの子に手 振ってる。』

『ここのラップ下手くそ!笑』

『やっぱ好きだな…薮の歌声。』



どんどん積もっていく“好き”と
会えなくて“寂しい”気持ち。



…俺、いつの間にこんなになってたんだろう。

俺をこんな寂しがり屋にした薮…責任 取れよ。




恥ずかしいとかプライドとか、
もう どーでもよかった。

この、薮に会いたくてしょうがない気持ちを
どうにかしたくてスマホの電話履歴の1番上…


薮に電話をかけた。

_４→←_２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す