やぶくんとひかるくん【２】（短編集）

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光side



俺だって…俺だって、大ちゃんと
仲良くしてやるもん。


やぶだって伊野ちゃんと仲良くしてるんだからお互い様。




…こんなつまんない意地張ってばっかみてぇ…





そう思ったけど、いつも俺が少し余裕のあるやぶに
ヤキモチ妬いてばっかりだから
たまにはやぶにもヤキモチを妬いて欲しくて



大ちゃんにLINEを送った。ひかる大ちゃん〜。おーい大ちゃんひかるくん?なんかあった?ひかるいやぁ〜…ちょっと、いろいろ?んー、まぁ大丈夫だよ大ちゃん…どーせ、薮くんのことでしょ?ひかるやぶのやつ…全然俺に構ってくれねぇんだよ…大ちゃん分かるよ〜。辛くなったら、いつでも俺のところおいで!笑ひかるありがとな笑!…こういう話は大ちゃんじゃないと出来ないからさ。




大ちゃんは少し抜けてるようにも見えるけど、
こういう時は意外と頼りになる。


気分転換にも大ちゃん家に遊びに行こうかなって
思ったそのとき…



薮『誰となにしてんの？』


｢あっ…やぶ。｣


薮『大ちゃん?…大ちゃんにしか話せない話ってなに?』




やぶは伊野ちゃんとの電話が終わったのか
俺のところに来てくれたんだけど、

俺の携帯に映る



“これは2人だけの話だな！”



って文字を運悪く見てしまったらしい。





薮『2人の秘密ってなんだよ？』


｢えっと〜それは…｣



やぶが俺に構ってくれないことが寂しいんです
だなんて口が裂けても絶対言えない。

そう思って顔を左右にブンブンふる。



薮『俺にも言えないことなのかよ…？』


｢あ、いや…｣


薮『じゃあ教えてくれたっていいじゃん』


｢いや、でも少しくらい秘密があったほうが
いいかなー？なんて…ははは…｣


薮『…なんだよ。俺は伊野尾と何話してんの？ってひかるに聞かれたときは答えたのにひかるは俺が聞いても答えてくれねぇの？

2人だけの秘密とか…俺、そんなに頼れない？』



｢いや、そういう訳じゃなくて『じゃあ、』｣


薮『じゃあ、なんなんだよ？』


｢それは…｣




…ダメだ。どうしても言葉に出来ない。


その場に沈黙が流れる。
その沈黙を破ったのはやぶで



薮『…ひかるさ、もう今日は帰ってくれない？』


｢え、なんで!?｣


薮『いいから、帰れ』




…マズイ。やぶを怒らせてしまったのは俺たけど…
本当のことを話せなくって、
そのままやぶの家を出てきてしまった。

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