やぶくんとひかるくん【２】（短編集）

風邪と愛。 ページ25

光side





薮『いいんじゃない？あ、そこは明るい感じでお願いできる？･･･ありがとな！うん、･･･』



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｢ハァ…｣

あの2人、いつまで話すつもりなんだろう…




今日は久しぶりに2人でお休みが重なったから
やぶが俺ん家来れば？って言ってくれて
俺は結構というか、かなり楽しみにしてたのに、


当のやぶはずーっとさっきから
伊野ちゃんと電話中。



伊野ちゃんと2人で久しぶりに
曲を作ることになったらしい。



やぶが歌詞を書いて伊野ちゃんが作曲…。



やぶの歌詞が書き終わったみたいで、
伊野ちゃんが今 音をつけてるらしい。


だから2人は楽屋で話し込んでたりすることも
多くって。




最初はお仕事のことだし、しょうがないって
割り切ってたんだけど休みの日まで…。



楽しみにしてたのは俺だけだったのか、って
少し悲しくなる。




｢ウｩゥ〜…｣



寂しさを紛らわすために、
最近お昼のバラエティ番組で買ったクッションに
顔を押し付ける。


こんなことで拗ねるとか子供かよ…



そんなことを考えてたら、
いきなり隣から誰かの腕が伸びてきて
そのまま抱きしめられた。






｢やっ…やぶ？！////ちょ、なにしてんの!!｣




俺がやぶの腕の中でわめいて暴れてたら、
やぶは人差し指を口の前にもってきて、


“シー”


のポーズをしていて。




慌ててやぶの携帯のほうを見たら、
【通話中】の文字。



…なんだよ。
一瞬だけでも喜んだ俺がバカだった。



俺を抱きしめたままやぶは通話を続けてて、
伊野ちゃんとの会話が所々だけど聞こえてくる。




…伊野ちゃんとやぶが話してるとこ正直 見たくねぇ…。




ってか、俺は伊野ちゃんの付けたし道具か!!


もう電話は終わりにして俺に構ってって言いたいけど
そんなこと口が裂けても言えない。



素直になれたらいいのにって何回も思うけど
多分これから先もずっと素直にはなれないな…






あ…やべ。

不意に涙が浮かんできて、
それを隠すために咄嗟にやぶの手を振り払って
奥の部屋へと逃げ込んだ。

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