やぶくんとひかるくん【２】（短編集）

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薮side



不意に背後から聞こえた



『 やぶ... 』


と俺の名を呼ぶひかるの声。




泣いてるところ見られるなんて恥ずかしいし、
こんな未練がましい男 誰でも嫌だよな..。



過去にすがり付いててダサいことくらい
自分が1番分かってるから...
いつかまた、ひかると2人で話せるようにするから。




俺はそう思って




『 こっち...来んな... 』と言った。




そしたらいきなり後ろから抱きしめられて。




ずっとずっと欲しかった感触だったけど



｢ やぶ、ごめん... ｣ って。


そんな言葉 聞きたくねぇよ...




また一筋の涙が頬を伝う。





だけど、その次にひかるが発した言葉は
俺の予想とは違っていた。




｢ やぶ...勘違いしてるよ。 ｣




ひかるは そこから、俺の誤解を解くように
1つ1つゆっくり話してくれた。



全部 俺の勘違いだったんだ...

そう分かったら今度は安心の涙がとまらなくなって。






｢ 俺が好きなのはやぶだけ...だからお願い。信じて。 ｣




ひかるはそう言うと俺の目をじっと見つめてきた。



俺が...俺のことだけが好き...

全部俺の勘違いだったんだ...





一応『 本当？ 』と聞いたら


｢勘違いさせたりするような行動とってごめん。だけど本当に俺は薮だけ。｣


って。そう言うひかるの目も潤っていた。





『浮気じゃなかったんだ...。よかった』




本当に、よかった。

俺にはやっぱひかるじゃねぇと、だめだ。




絶対、他の人になんか譲らない。



他の全部を失ってもひかるだけは失いたくない。




改めて、その思いが強くなる。






俺が最後に


『 仲直りの 』って言ってキスをしたら

ひかるが優しく微笑んでたから



思わずまた泣きそうになっちゃって、


それを隠すようにまた俺は優しくキスをした。





end♪

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