やぶくんとひかるくん【２】（短編集）

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薮side




『 俺の言ってるのあってるじゃん 』



もう俺は、覚悟を決めていた。
ひかるにフラらる...覚悟を。



辛いけど、辛すぎるけど。



ひかるが選んだのが伊野尾ならしょうがないよな...




せめて、最後に俺の言い分くらい言わせてくれ





薮『ラジオ中なのにいきなりキスして、めっちゃエ ロい声ひかる出してさ。ウケ狙いだって受け入れたのにラジオ終わったらハグしてんだろ？



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浮気とかタチ悪いんだよ...俺の思い、全部踏みにじんじゃねぇよ。嫌なら言えばいいのに挙句の果てに楽屋で抱きしめ合いながら愛囁いてんだろ？ほんとさぁ..っ』






もう...これ以上、自分の言葉には出来なかった。



必死に唇を噛んだけど、それでも
溢れる涙を止められない。


最後くらいカッコイイ俺を見せたかったけど
そんな余裕なんか残ってなくて。



『俺はっ本気だった..のになっ..』




声にならない声でそう伝えて、
一気に楽屋から走り出した。




もうこのままどこかへ消えてしまいたかった。






“ ひかるは俺のことを好きじゃなくなった ”



頭では理解できるのに心が痛いくらいに



“ ひかるじゃないと俺はいやだ ”


って叫んでいる。





近くにあった階段に腰をおろして、
誰にもバレないように声を殺して泣く。




『 ひかるっ...ぅ...ひかっ...ﾋｯｸ... 』




涙と嗚咽がとまらなくって、もう顔もきっと
悲惨なことになっている。



頭の中がひかるでいっぱいではち切れそうだった。






照れているひかるもヤキモチ妬いて拗ねるひかるも
俺の大好きものだけで料理を作ってくれるひかるも
朝は必ず起こしてくれるひかるも







もう、自分ではない他の人のものになってしまう。
そんなの...絶対イヤだった。




出会いがあれば必ず別れもある。


そんな言葉もあるけどあまりにも辛くて、
こんなの耐えられるはずなかった。






1人っていうことがまた余計に悲しさを
倍増させて、俺の涙は止まることを知らずに
頬を濡らしつづける。

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