やぶくんとひかるくん【２】（短編集）

_８ ページ13

薮side



そこから撮影現場につくまでは
正直なにしてたか自分でも記憶が無い。




だけどやっぱり過去にすがりつく俺は



『 ひかるが...ひかるから、別れを告げてきたらそしたら正直に受け入れよう... 』



そんなことを頭のなかで考えていた。





撮影現場の楽屋に入るとやっぱり
伊野尾とひかるはいなかった。




伊野尾がいないのはまぁよくあるけど、
ひかるがいないなんてありえなかった。




仕事には誰よりも真面目で、責任感の強いひかるだから
遅れるなんてこと絶対なかったのに。




“ 今頃2人で楽しんでんのかな... ”

“ きっと2人は時間より遅れてくるだろうな ”



そんな俺の予想は的中で。




予定より30分ほど遅れてひかる達が到着した。





俺以外のメンバーが

『 遅かったね 』とか口々に言っている。




それに伊野尾がいつも通り適当に返してたけど...、





俺は、見ちゃったんだ。



ちょうど 俺の座るソファから見える角度だった。





どうせなら見たくなかった。







けど...見えてしまったものはしょうがない





2人が手を繋いでいたところを見てしまったなら...

しょうがない。






“やっぱりそういう関係なのか”




もうそれはほぼ俺のなかで確信だったけど、
やっぱり受け入れられなくて。





思わずひかるを睨みつけてしまった。





ひかるはそんな俺に気づいたみたいで、
何かを言おうとしたのか近づいてきたけど




途中で戻ってしまって、


何も言わずに大ちゃんと撮影に行ってしまった。







いつもは“やぶひか”なんて言われて
ペアはだいたいひかるなのに、
こういう日に限ってなんでひかるじゃなくて...






...よりによって伊野尾なんだよ。





いつもペアの相手が大ちゃんじゃないと


『 なんで違うのー?! 』って文句をいう伊野尾だけど、

今日は、珍しく静かだった。




なんだよ...もう俺にはひかるだけ♡

みたいな感じかよ。



そう思ったけど、なるべくバレないように



『 俺、大ちゃんじゃないけど今日は文句言わないのな(笑) 』

って言ったら

｢ 薮が大ちゃんじゃないことくらい分かるよ？ ｣


って...真面目に返された。

_９→←_７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す