やぶくんとひかるくん【２】（短編集）

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薮side



伊野尾に起こしてもらって
ひかるにバレずに家を出てきた。




ひかるの目に入るようにキッチンに

“わりぃ。朝早い仕事入ったから先行くわ”

って書いたメモを置いてきたけど




本当は仕事なんか入ってない。

気まづかったからそのまま出てきてしまった




もしかしたらひかるが探してくれるかも..



少しだけ期待している俺。





ひかるは午後から雑誌撮影しかないからそれまで暇なはず。



少しくらい俺のこと気にしてくれるよな..？





足が疲れたけど朝早くてどこも空いてないから
近くの公園のブランコに座る。





スマホを確認したけど通知はきてなかった





『 ひかる、寝坊かよ.. 』




神経質なひかるだから、どれだけ遅く寝ても
仕事のある日は必ず決まった時間に起きるのに。








しばらくブランコに乗ったあと丸太の椅子に横になる。






だんだん、危ないと分かっていても
目が開かなくなってくる。




1つあくびをして、夢の世界に行きかけた



...が、




そのときにまた俺の携帯が



ﾋﾟｺﾝｯ



っと鳴る。





今までの眠気なんて吹っ飛んで、
急いで送り主を見たけどそれは俺が期待してた人じゃなくて
昨日から見慣れた名前。





『 また伊野尾かよ... 』





そう思ってスマホを閉じようとしたときだった





“今、ひかると2人ででかけてま〜す♪”

“ひかるが誘ってきたんだよ〜珍しいよなぁ”






楽しそうなメッセージが送られてきて。



は…？





ひかるが俺に連絡もなかったのは、俺がいなければ
伊野尾と遊べるから...？



俺がいたら、付き合ってることがバレちゃうから...？



だからいないことをいいことに、
伊野尾と2人で遊んでるのか？




もしかして...浮気？

俺は、本気だったのにひかるは遊びだったのかよ



今まで我慢してきたものが
すべて壊れてしまいそうだった。






そうしたら次に送られてきた写真。






ひかるがこっちを見て楽しそうに笑っていた。
そして、...伊野尾の手を握っていた。






『 ふっざけんなよ...！！！！ 』






なんなんだよ...しかもこれ、ひかるから
手...繋いでるよな？





いつも俺と出かける時はキモイって
マジトーンで言われて絶対やらせてくれねぇのに
伊野尾には自分からやっちゃうのかよ。






なんだよ...



こんだけひかるのこと好きにさせといて、
満足したら別の人いくのかよ...？



『 ほんっとに...ふざけんな... 』

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