やぶくんとひかるくん【２】（短編集）

_６ ページ11

薮side




羊を数えてみたり、いろんなことをしたけれど
やっぱり落ち着かなくて寝れなくって。



ひかるは今、お風呂に入ってるらしく
水の弾く音が聞こえてくる。




『 そういえば、明日の朝どうしよ... 』




とてもじゃないけど、このままだと
ひかるに何をしてしまうか自分でも分からない。






“まだ朝はひかるに会いたくないな...”




ちゃんと、自分のなかで整理をつけてから。

そう思ったけど...、




朝に弱い俺はいつもひかるに起こしてもらってる。






そんな俺が自分で起きれるわけないし
アラームなんかかけたらひかるも一緒に
起きてしまうだろう。





困ったなぁ...





そんなとき、1番に俺の頭に浮かんできたアイツ。






『 伊野尾なら...朝にも強いんじゃね 』





5:25分からの朝の生放送だってやってるし。







きっとひかるはお風呂だから俺が話してる声も
聞こえないだろう。




それをいいことに俺は伊野尾へ電話をかけた





...正直に言えば、伊野尾の声とか
その...きっとひかると進展とかあったなら
嬉しそうな声とか...してるはずだし、





それが確かめたかったってのも、
ほんの少し...少しだけあるけど。





電話をかけたらすぐに出てくれて。






慧｢ やぶ〜？どうした？ ｣


『 いや、明日の朝起こしてほしいから電話頼みたいんだけど 』



慧｢ ひかるに頼めばいいじゃん？ ｣



『 あ、いや、疲れてるだろうしさ。申し訳ないから。頼むよ〜 』



慧｢ んー。じゃあ慧くん薮ちゃんのために一肌脱ぎます♡ ｣



『 きもいわ笑 』





途中で“ひかる”という単語が出てきて
一瞬言葉が出てこなくなっちゃったけど、
なんとかバレなくて済んだみたいだ。






それに電話したかぎりだと、あまりいつもと変わりはなかったよな...？




少し安心して、俺は今度こそ眠りについた。

_７→←_５

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す