やぶくんとひかるくん（短編集）

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薮side




俺は、ひかるを…避けている。



何度もなんどもひかるが俺を
呼んでいることくらい気づいてる。


だけど、もしその話の内容が別れ話だったら？って。



心が狭い彼氏なんかもういやだって、
振られたらどうしようって、


そう考えると怖くてたまらなくなる。



そして今までの俺たちの関係がなくなるくらいなら
このまま形だけでも付き合っていたい。っていう


俺の…、汚い感情。



本当は今すぐにでも会って抱きしめて
たくさんキスをして、好きの確認をして

仲直りしてひかるとたくさん話したりして。



甘酸っぱい夜を過したい。



…俺は。


…ひかるは？



ひかるが好きすぎて、手放したくなくって怖い。

ひかるがいなくなったら俺にはなにもない。



だけど、ひかるはベース普通に弾いてたり、
家に手料理作って大ちゃん招いてたり…、


ひかるの手料理が食べれるのは俺の特権だと
思ってたんだけどな…


俺が勝手に嫉妬しただけなのに次は
話しかけられても無視する、とか

我ながら俺 自己中すぎるだろって思う。



"やぶひか"って呼ばれる俺らだけど
本当に俺はひかるがいないとなにもできねぇよ…



昔から俺の隣はひかるがいるのが当たり前で。


JUMPとしてデビューすることになって、
そりゃ辛いこととか数え切れないくらいあったけど

それでもひかるがいたから乗り越えられた。


どうしても…ひかるを手放したくない。



他のなにを捨ててもいいから、
ひかるの隣だけは一生俺だけでいたい。


最近はずっとこんなことばかり考えている。


幸い、今は楽屋に伊野尾しかいないから
『はぁ…』とため息をつく。


テキトーっぽいけど周りの変化には敏感な伊野尾。



『…薮？なんかあった？ひかると。』


｢え？…ってなんでひかるって分かるんだよ？！｣


『簡単だろ笑。薮のこと悩ませる奴なんて昔からひかるしかいないだろ？』


そう言われて、初めて気づく。


『これでも同期ですからお悩みくらい聞きますよ〜♪』



そう言って伊野尾はそのまま出ていった。

きっと最後は俺が変に気を使わなくていいように
わざと笑わせてくれたんだろう。


…俺は、いい仲間に恵まれたな。



伊野尾もいなくなって今は楽屋で1人っきり。




最近あまり寝れてなかったから
伊野尾のおかげで少し気持ちが楽になったら

すぐに睡魔が襲ってきて。

俺はそのまま目を閉じた。

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