やぶくんとひかるくん（短編集）

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光side



楽屋へ戻ろうと歩いていたら
後ろから伊野ちゃんが走ってきた。


薮はピンの撮影が残ってるけど
自分は撮影終わったから帰ってきたらしい。



楽屋に入ると伊野ちゃんと2人っきり。



そういえば大ちゃんお腹痛いからトイレ行くって言ってたな。




2人の間に沈黙が流れるけど伊野ちゃんとは
全然辛くはないから一緒にいるとすごく楽。



｢ひかる……？｣


いきなり伊野ちゃんが話しかけてきて。


『んー？どうした？って……え？…は？！』


伊野ちゃんの目に……
もう溢れそうなくらい涙が溜まっていた。



いきなりすぎることに状況が飲み込めない。



｢俺のこと……すき？｣


『え……？』



俺の頭のなかを『すき』の二文字がぐるぐるまわる。


もちろん、俺は伊野ちゃんが大好き。

それは…、メンバーとして。


というかJUMPのみんなのこと大好きだよ？




なに当たり前のこと聞いてんだよ……？

って言おうとしたら伊野ちゃんがついに涙をこぼして


『ねぇ、本当にひかるは俺を好きなの…？
好きなら…俺を、抱きしめて。』って。



その声はとても弱々しくて少しでも間違えたら
消えてなくなってしまいそうだった。



だから俺は迷わずに
優しく、だけど力強く伊野ちゃんを抱きしめた。



いきなりどうしたのかはすごく気になるけど
メンバーがもし悩んでたりするなら俺は少しでも力になりたい。


だからハグくらいならいくらでもやってやる。




『 伊野ちゃん、好きだよ…大好き。本当だよ…？』


｢………やぶ。｣



は…？なんでいきなりここで“薮”…？



伊野ちゃんはドアのところをじっと見つめていて。

その視線の先に目をやるとそこには薮が立っていた。




いつから立ってたんだ？！

って思ったけどすぐ薮の言葉によって知らされる。




『お前ら、そういう関係だったんだ？本当に大好きとか。ひかる浮気してたんだ……？キスしてあんな声してたのもハグしてたのも…手を繋いでたのも……全部お前ら付き合ってるからだったんだ…？愛しあってるからだったんだぁ……？けど光には俺がいるからバレないようにって……香水なんかオソロイにしたん｢違う！｣』


『違くねぇだろ……？』

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