或る夏の海 ページ7
#煉獄杏寿郎
大学で地元を離れて3年が経った。
幼馴染の杏寿郎からGWぶりに突然連絡があったのは、7月に入ってからのこと。
「A！！突然の連絡ですまない！！」
いつも通り、電話口の溌剌とした声に笑みが溢れる。
用件を尋ねれば、煉獄家が夏の期間に営んでいる海の家を手伝って欲しいという内容だった。
「今年は特に人手が足りなくてな…
賃金も支払うから、手伝って貰えないだろうか？」
『とりあえず、7月はテストもあるから厳しいよ。
やれるとしても、8月に入ってからかなあ。』
私は手元の手帳を眺めながら曖昧な返しをした。
「そうか、8月からだな！ありがとう、助かるよ。」
…ちょっと待て、まだやるなんて言っていない。
この男、根は良い奴なのだが、いつも話を聞いていない気がする。
『ねぇ、まだやるって言ってないんだけど？』
正直やりたいかやりたくないかで言えば、後者だ。
暑いし、日焼けしそうだし、おまけに夏の短期のバイトには良い思い出がない。
「む？では、引き受けてくれないのか？」
あぁ、これはこの場で決断しなければならないこと
らしい。
『あーもう、分かったよ。やるやる。
その代わり、日焼けしたくないから絶対に屋内で
しか働かないからね。
あと毎日かき氷ご馳走して。』
考えても仕方ないので、渋々ではあるが、私はバイトの話を受けることにした。
「ありがとう！！
かき氷でも何でも好きなだけ食べるといい！！」
そう言って豪快に笑った杏寿郎が、早く会いたいな、と小さく言ったのを私は聞き逃さなかった。
『すぐに会えるよ。じゃあまたね。』
「あぁ。千寿郎も心待ちにしているぞ。」
じゃあね、ともう一度言って電話を切り、宙を仰いだ。
“夏休み”
“短期のバイト”
高校時代の苦い思い出が蘇る。
今の年齢のまま当時に戻れたら、と思うことはないがあの日のことを思い返せば、数年が過ぎた今も鮮明に脳裏に揺れる残像が、私の心を抉った。
その残像を払拭するように、私は手帳に“海の家”と書いて、夏休み期間を囲った。
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ゆきの(プロフ) - 伊黒小芭内めちゃくちゃよかったです！！凄い推してるのに，あんまり作品がないので．．．私，伊黒さんと宇髄さんと実弥さん好きなので，とても面白かったです！！！ (2022年2月28日 0時) (
レス) @page30 id: 979384fcc7 (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - あさひゆうひさん» あさひちゃんも読みに来てくれてありがとなァ！！ちゃんと甘く書けてたのか不安だったから、そう言ってもらえて嬉しい！！ルビは最近1番気をつけてる(笑)一緒にお祝い出来て私も嬉しい❤️あさひちゃんのお話も最高だったゾ！！！！ (2021年11月29日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - ひよさん» 早速読みに来てくれてありがとう！ハピエンを匂わせたままにしてたので、このタイミングでしっかり伏線回収させて頂きましたァ！！この実弥くんだから、夢主さんはやっと過去を清算できたのかな、と思ったり…。ひよちゃんのコメント力高すぎていつも文字数足りない(笑) (2021年11月29日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - りりちゃん…！続きをありがとう！甘い!!!実弥さんの甘い言葉の数々にきゅん…素敵な誕生日のお話ありがとう!!!そして、ルビありがとう！助かります！（土下座）一緒に実弥さんのお誕生日お祝い出来てとっても嬉しいです♡ (2021年11月29日 0時) (レス) @page28 id: 9c7376e839 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - りりちゃん、実弥くんの続きを読ませてくれて本当にありがとう!! こうなってくれると良いな、と思いながらの完結だったので、素直に嬉しいです。過去の残像を払い除けられたのは、実弥くんだからか……お誕生日おめでとうございます…!! (2021年11月29日 0時) (レス) @page28 id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羽糸 | 作成日時：2021年8月7日 20時
