∬∬ ページ28
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「俺が欲しいのは、Aさんとの未来だけっすよ。」
実弥くんの頬はほのかに赤い。
『どうして私なの…？
もっと若くて可愛い子、沢山いるじゃない。』
これでも素直になれない私は、相当拗らせて、面倒くさい。自分でもそう思う。
「若いとかそういうの、考えたことはねェけど、
なんつーか、Aさんだから、かな。」
それじゃァ駄目？と眉を下げた彼が、堪らなく愛しい。
『ずっと、怖かった。
想うのも、想われるのも。』
「うん。」
『ずっと、上手くいかなくて、燻って、嫌だった。』
「うん。」
『それなのにどうして、実弥くんには期待しちゃうんだろう…』
静かに相槌だけを打っていた実弥くんが、私の肩を抱いた。
「そこは、“俺だから”って言ってよ。
これからは楽しい事しか無ェんだから。」
『うん……そうかもね。』
私はそっと、抱き寄せられた肩に身を預けた。
ドク、ドク、と早い心臓の音がして、実弥くんも決して余裕なんかじゃなかったんだと分かった。
顔を上げて、ぎこちなく唇を合わせれば、探り合うキスから、互いを溶かし合うようなそれへと形を変える。
火花を散らすような激しい感情ではなく、
互いを照らす
『実弥くん、改めて誕生日おめでとう。』
「ありがとなァ。」
いい加減駐車場出ないとね、なんて2人で笑って、私たちはやっと帰路についた。
「なんか…このまま帰すの勿体ねェな…」
帰りの高速道路を運転しながら、実弥くんがニヤリと笑う。
『いやでも、明日直行でしょ？
それに今日、月曜だよ？』
「でもなんか…名残惜しくねェ？」
『うん…じゃあ明日、会社まで送ってくれる？』
「え…それって……
もちろん送るけど……」
これには自分でも驚いた。
普通なら絶対にこんなことは言わなかった。
不死川実弥という熱に冒されて、短命な夏はしっかりと羽を休めた後に、その強さを取り戻して孵ったのだ。
『お誕生日だから。特別だよ？』
私は悪戯に笑った。
いつまで、どこまで、
干からびて疼くのかと彷徨った心は
危ない果実がそこら中に広がる世界で
貴方だけに手を伸ばした。
無意識と無防備が生むその魔法で、
愛の真似事にやっと終止符を打った。
過去の残像の虚しさを払い除けて
途切れない幻を突き止めていくような
真意だけを私は、風の中で燃やした。
fin.
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ゆきの(プロフ) - 伊黒小芭内めちゃくちゃよかったです！！凄い推してるのに，あんまり作品がないので．．．私，伊黒さんと宇髄さんと実弥さん好きなので，とても面白かったです！！！ (2022年2月28日 0時) (
レス) @page30 id: 979384fcc7 (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - あさひゆうひさん» あさひちゃんも読みに来てくれてありがとなァ！！ちゃんと甘く書けてたのか不安だったから、そう言ってもらえて嬉しい！！ルビは最近1番気をつけてる(笑)一緒にお祝い出来て私も嬉しい❤️あさひちゃんのお話も最高だったゾ！！！！ (2021年11月29日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - ひよさん» 早速読みに来てくれてありがとう！ハピエンを匂わせたままにしてたので、このタイミングでしっかり伏線回収させて頂きましたァ！！この実弥くんだから、夢主さんはやっと過去を清算できたのかな、と思ったり…。ひよちゃんのコメント力高すぎていつも文字数足りない(笑) (2021年11月29日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - りりちゃん…！続きをありがとう！甘い!!!実弥さんの甘い言葉の数々にきゅん…素敵な誕生日のお話ありがとう!!!そして、ルビありがとう！助かります！（土下座）一緒に実弥さんのお誕生日お祝い出来てとっても嬉しいです♡ (2021年11月29日 0時) (レス) @page28 id: 9c7376e839 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - りりちゃん、実弥くんの続きを読ませてくれて本当にありがとう!! こうなってくれると良いな、と思いながらの完結だったので、素直に嬉しいです。過去の残像を払い除けられたのは、実弥くんだからか……お誕生日おめでとうございます…!! (2021年11月29日 0時) (レス) @page28 id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羽糸 | 作成日時：2021年8月7日 20時
