∬∬ ページ27
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「本当に、それだけ？」
実弥くんが何を言いたいのか分からないまま、困惑する。
『それだけ…って？』
「俺が欲しいのはひとつだけっすけどねェ…」
意味深な笑みを浮かべる実弥くんがゆっくりと私を見た。
「分かんないっすか？俺の欲しいモノ。」
『…分かんないよ。』
「俺、諦めは悪い方だって言いましたよねェ？」
その瞬間、脳裏を掠めたの夏の匂い。
まっすぐな瞳に、思わず私は分かりやすく目を逸らした。
「思い出しましたァ？」
きっと実弥くんは今、勝ち誇ったように笑っているんだろうな…
悔しいような、恥ずかしいような、とにかく居心地が悪くて、俯く。
「こっち向いてよ…」
拗ねたような声は思っていたよりも近くから聞こえた。
『嫌。顔、見られたくない。』
「なんで？」
『だってあれから何もなかったみたいにしてたじゃん。
今だってそう。私だけが間に受けて、意識して、
馬鹿みたいじゃん。』
じわじわと滲む感情の行き先が分からない。
目の前の彼の目を見つめ返せるほど、私は若くない。
俯く私の目の前に差し出されたチョコレート。
甘い香りが近付いて、唇をなぞる。
「口開けねェとベタベタに溶けるんすけど。」
言われるがまま開いた口に少し溶けた甘いそれを放り込まれる。
口の中で広がる甘くとろけるそれをゆっくりと噛み締めれば、目の前に覗き込むようにして現れた実弥くんは、すごく真剣な顔をしていた。
「間に受けて、くれてたんすね…」
突然唇を包んだ温かく柔らかな感触。
まるで、熱で溶かすようなその唇に、全身に痺れるような感情が駆け巡る。
あの夏からずっと、焦がれていたのはこれだったのかもしれない。
甘…と言いながら唇を離した彼をやっと見つめる。
その視線に熱が宿って、少しも離すことなんて出来なかった。
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ゆきの(プロフ) - 伊黒小芭内めちゃくちゃよかったです！！凄い推してるのに，あんまり作品がないので．．．私，伊黒さんと宇髄さんと実弥さん好きなので，とても面白かったです！！！ (2022年2月28日 0時) (
レス) @page30 id: 979384fcc7 (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - あさひゆうひさん» あさひちゃんも読みに来てくれてありがとなァ！！ちゃんと甘く書けてたのか不安だったから、そう言ってもらえて嬉しい！！ルビは最近1番気をつけてる(笑)一緒にお祝い出来て私も嬉しい❤️あさひちゃんのお話も最高だったゾ！！！！ (2021年11月29日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - ひよさん» 早速読みに来てくれてありがとう！ハピエンを匂わせたままにしてたので、このタイミングでしっかり伏線回収させて頂きましたァ！！この実弥くんだから、夢主さんはやっと過去を清算できたのかな、と思ったり…。ひよちゃんのコメント力高すぎていつも文字数足りない(笑) (2021年11月29日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - りりちゃん…！続きをありがとう！甘い!!!実弥さんの甘い言葉の数々にきゅん…素敵な誕生日のお話ありがとう!!!そして、ルビありがとう！助かります！（土下座）一緒に実弥さんのお誕生日お祝い出来てとっても嬉しいです♡ (2021年11月29日 0時) (レス) @page28 id: 9c7376e839 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - りりちゃん、実弥くんの続きを読ませてくれて本当にありがとう!! こうなってくれると良いな、と思いながらの完結だったので、素直に嬉しいです。過去の残像を払い除けられたのは、実弥くんだからか……お誕生日おめでとうございます…!! (2021年11月29日 0時) (レス) @page28 id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羽糸 | 作成日時：2021年8月7日 20時
