☆★ ページ10
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海水浴場が閉場し、後片付けをしていると、仕事を終えた杏寿郎が戻ってきて、一緒に後片付けを手伝ってくれた。
ひと段落したテーブルを3人で囲み、かき氷を食べる。
シャク、シャク、と氷を崩す音と波の音が店内に響く。
「千寿郎、これを食べたら俺はAを送っていく
から、店の戸締りを頼む。」
「分かりました。」
他愛もない会話を交わしていると、突然雷の音とともに大粒の雨が降り出した。
黒い雲に覆われた空が、一気に辺りを暗くする。
「夕立ち…でしょうか？」
心配そうに外を見た千ちゃんが、店内のテレビを付けた。
「そうだな。
でも台風も近づいてるようだ。」
ちょうどやっていた天気予報を見ながら、杏寿郎が顔を顰めた。
『上陸する時はお盆だから、タイミングとしては
ちょうどいいのかもね。』
送り盆は海水浴場に人は来ない。
そのタイミングを見計らったかのように上陸する台風もまた、亡くなった人々に呼び寄せられているのだろうか。
「ともあれ、この雨が弱まったらここを出よう。
千寿郎、奥から傘を取って来てくれないか。」
はい、と千ちゃんが小走りで店奥へと消えたのを確認して、はぁ、と杏寿郎はため息をついて外を見た。
「本当はそこの丘上で少し話そうと思ってたのだが…
また今度だな。」
『そうだね。仕方ないよ。』
杏寿郎の視線の先を追えば、先程までは穏やかだった波が白波を立てて砂浜を削っていた。
湿度をまとったぬるい空気が窓から入り込んで、店の空気に溶ける。
千ちゃんから傘を受け取り、私たちは寄り道せずに
家までの道を歩いた。
お互いの大学の話、新しくできた友達の話なんかを話している内に、あっという間に家に着いてしまった。
傘をさした杏寿郎の正面に立って、笑いが込み上げた私に杏寿郎がはてなマークを浮かべる。
『杏寿郎と雨って似合わないなぁと思って。
ザ・晴れ男！って感じじゃない？
だからなんか面白くて…ふふっ』
「確かに、何かイベントがある時は大体晴れだが…
気にしたことはなかったな！」
晴れ男なのかもな、と笑った杏寿郎が、すぐに真顔になった。
「いや、もう晴れ男ではないかもしれない。」
『どういうこと？』
「Aと再会する日に雨を降らすようでは、晴れ男
を名乗れないだろう？」
『大袈裟だよ。』
笑ったのは、私だけだった。
「俺にとっては、それくらい大切な日なんだよ。」
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ゆきの(プロフ) - 伊黒小芭内めちゃくちゃよかったです！！凄い推してるのに，あんまり作品がないので．．．私，伊黒さんと宇髄さんと実弥さん好きなので，とても面白かったです！！！ (2022年2月28日 0時) (
レス) @page30 id: 979384fcc7 (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - あさひゆうひさん» あさひちゃんも読みに来てくれてありがとなァ！！ちゃんと甘く書けてたのか不安だったから、そう言ってもらえて嬉しい！！ルビは最近1番気をつけてる(笑)一緒にお祝い出来て私も嬉しい❤️あさひちゃんのお話も最高だったゾ！！！！ (2021年11月29日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - ひよさん» 早速読みに来てくれてありがとう！ハピエンを匂わせたままにしてたので、このタイミングでしっかり伏線回収させて頂きましたァ！！この実弥くんだから、夢主さんはやっと過去を清算できたのかな、と思ったり…。ひよちゃんのコメント力高すぎていつも文字数足りない(笑) (2021年11月29日 8時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - りりちゃん…！続きをありがとう！甘い!!!実弥さんの甘い言葉の数々にきゅん…素敵な誕生日のお話ありがとう!!!そして、ルビありがとう！助かります！（土下座）一緒に実弥さんのお誕生日お祝い出来てとっても嬉しいです♡ (2021年11月29日 0時) (レス) @page28 id: 9c7376e839 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - りりちゃん、実弥くんの続きを読ませてくれて本当にありがとう!! こうなってくれると良いな、と思いながらの完結だったので、素直に嬉しいです。過去の残像を払い除けられたのは、実弥くんだからか……お誕生日おめでとうございます…!! (2021年11月29日 0時) (レス) @page28 id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羽糸 | 作成日時：2021年8月7日 20時
