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如何して、こんなことを云うのだろう。意味が分からない。理解が出来ない。
けれど分かったのは、中原さんが優しい人だということだけ。

優しい人。優しくて、残酷な人。

自分を見つめる瞳は、私と違って何処までも真っ直ぐで。それに眩しさを感じて、嗚呼、目が潰れそうだとも思った。

私は​───曖昧に、笑って返すことしか出来なかった。



『私は、あの人が幸せなら良いんですよ。
彼を愛しているから、幸せになって欲しいんです』

「……手前……」

『ただそれだけです。この恋心は、私だけで十分です。好きなだけで、良いんです』



本当は、寂しいけれど。

驚いた表情に向かって、私はお礼を云った。
そこで中原さんとの会話は幕を閉じる。

一瞬、何か云いたそうな顔をしたけれど中原さんは何も云わなかった。





『太宰さん』



漸く見つけた砂色の背中に声をかけた。
相手の女性は私を目に収めたあと、そそくさと私の横を通って逃げるように足早で去って行った。

美しい人だった。
絹のような黒い髪。丸くて大きな瞳。もしもあの人になれたならなんて思う。



「あーあ。今日こそは上手くいくと思ってたのになあ」

『昨日みたいに今から川に飛び込もうとしないでくださいね』

「飛び込んだ瞬間に君は私を引き上げるのだろう?うん、やらないさ」



なら良かった、とは云えないが。
流石に心中を断られる度川に飛び込まれては引き上げる側としての私もとても困るし。

何時か彼の心中が成功してしまう日は来るのだろうか。



『太宰さん。調査がまだ残ってます』

「嗚呼。確かここら辺の​路地裏だっけ」

『はい。今から行くのでちゃんとついてきてくださいね』



また一人で勝手に何処か行かれないか心配だった。本当は腕でも掴んでいたいけれど。
そんな勇気なんて無い。

然し心配は要らなかったようで、そこからすぐに目的地へと着いた。
路地裏は暗くて冷たい雰囲気を感じるから好きじゃない。



「……へえ」



立ち入り禁止のテープをくぐると、そこには血の跡があった。
時間が経っているのか、血の色は赤と言うより赤黒い。そして乾いている。

血の海、という程大量の血液は流れてはいないが、それが妙に違和感を感じる。


そして何より、一番の問題が​────



『……死体がありませんね』



何処にも転がっていない。

まるで、神隠しでもされたように。
神隠し、というか。化け物にでも食べられたとか。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 太宰治   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - サンゴさん» ありがとうございます……!忙しくなるピーク前に、出来るだけまとめて書きたいと思ってます……。 (2018年12月28日 19時) (レス) id: 133caaaf3b (このIDを非表示/違反報告)
サンゴ - 嗚呼〜続きが気になります!ゆっくりでも良いので無理せず更新頑張って下さい!(遠回しに消さないでと言っている笑) (2018年12月28日 18時) (レス) id: f7865afa83 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みかげさん» とりあえず書けるところまでは書いてみようと考えています……。とても励みになります、ありがとうございます。 (2018年12月27日 22時) (レス) id: 133caaaf3b (このIDを非表示/違反報告)
みかげ - この小説私すごく好きです!なので消さないで下さい!あ、でも1読者の意見として聞き流してもらって結構ですよ!厚かましくてすみません! (2018年12月26日 20時) (レス) id: 9a6b1a518e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年12月23日 13時

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