49. 龍神白雪 ページ3
「着いたな」
「えぇ。」
音二郎とAは、鏡花と紅葉の住む家に来た。
「そこにいるのは川上か?」
「!」
音二郎が振り向くと、縁側から顔を出した紅葉がいた。
「尾崎先生か。どうも」
「おう。よくきたな。」
紅葉は穏やかな顔で笑う。そして、視線はAに向く。
「ところで。そこのご婦人は?」
紅葉がそう言うと、Aがにこりと笑って答えた。
「初めまして。音二郎の友人の藤嶺Aと言います。」
「よろしく、
偉い別嬪なご婦人だな。」
紅葉がそう言って世辞を言うと、
「お口がお上手なんですね」
Aはｸｽｸｽと笑う。
「ん?本心だぞ？」
「あら。それは嬉しいです」
Aはにこりと笑った。
「尾崎先生さんよ、鏡花ちゃんはいるか?」
「あぁ。いることはいるが、ｱｲﾂ"いつも通り"だぞ」
「あぁ。分かってるって」
「…」
紅葉は"いつも通り"と言った。と、言うことは泉はもう…?
なんにせよ、彼を見ないと始まらない。
「行こうぜ。A」
「えぇ。」
Aは、頷いて鏡花のいる部屋へと向かった。
。
。
「鏡花ちゃん。俺だ。入るぞ」
音二郎がそう言って、戸を開けてAを連れて入
すると…
ーーﾌﾞﾜｯ!!!
「「!?」」
二人の目の前をとてつもない禍々しい風が突き抜けた。
「なんだってんだ、一体!?」
「わからないっ」
二人が部屋に入ると、泉鏡花がいた。
「川上、勝手に入っていいとは言ってないよ。それも何で知らない奴なんか連れて来てるんだよ」
鏡花はそう言って、音二郎を睨みあげた。
「ｺｲﾂは俺のダチだよ。そうｶﾘｶﾘするなって。せっかく会いに来てやったってのに」
「うるさいな。俺は白雪の絵を見たいんだ。邪魔しないでよ」
「悪ぃ悪ぃ」
「…」
二人のやり取りを聞きながら、Aは気になる絵を見つめる。
「…やっぱり」
ーーあれか。
Aが見つめる先には、確かに龍神白雪に似た絵が飾られている。
しかし。
「…なんて強い妖気」
それは人の目には見えない禍々しいオーラを纏っている。
それにAは、あることに気づいた。
「どうして…?…いない?」
そこにいるはずの元の龍神白雪がいないのだ。
ーーまさか…。
春草の黒猫と同じように、妖の妖力によって外へ弾き出されたのか?
もし、そうなら…彼女はどこに…?
すると。
《ｵﾏｴ,ﾜﾀｼｶﾞﾐｴﾙﾉｶ?》
Aの隣からどこまでも透き通るような声がした。
「貴女…!」
Aは目を見開く。
ーー龍神白雪ｯ!!!
着物を纏い、美しい艶やかな髪を靡かせる白雪の姿だった。
50.彷徨う 白雪！彼女のＳＯＳ!!→←48. 音二郎の頼み
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作者名：ﾚﾝ | 作成日時：2019年6月22日 18時
