【明治東京恋伽】明治怪盗恋忌憚Ⅱ―森鴎外― (ページ12)

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58. 帝国ホテルの亡霊!? ページ12

ーー一時間後。
「やぁ。ごめんごめん。遅くなっちゃって」
視察を終えたハウルが、本部から鴎外と歩いて出てきた。
「!」
「鴎外さん。ハウル」
Aと蓮之助が気がついて視線を向ける。
「A、退屈ではなかったかい?」
鴎外がそう言うと
「いえ、大丈夫ですよ」
Aはふわりと微笑む。
「そうか。」
鴎外もふわりと微笑んだ。
「で?視察はどんなものだったんだ?井上外務卿には挨拶ぐらいしたんだろ??」
蓮之助がそういうと、ハウルがげんなりとした顔を浮かべる。
「うん。もちろんしたよ?でもさ、視察というより講義に近くてね。ドイツで学んだことを色々教えてやってくれって言うもんだから、めんどくて一分単位で終わらしてきたんだよ。あとは、本部の中を見回ったりね。」
「ホントに適当だな、おまえは…(汗」
蓮之助が呆れたように言う。
「それよりも一つ、本部にいる軍人から気になる噂を耳にしたんだ。」
「噂?」
「「!?」」
蓮之助が首を傾げ、Aと鴎外も眉を寄せる。
「うん。まぁ、立ち話もなんだし、ここを離れてカフェにでも入ろうか。」
ハウルはそう言ってにこりと笑う。
★

★
浅草にあるカフェに4人は入ると、話を始めた。
「「「"帝国ホテルの亡霊"!?」」」
ハウル意外のメンバーがそう声を上げた。
「そう。しかも女の子のね」
ハウルが淡々と答えた。
「それって"ｼﾞｪｰﾝ"という小泉くんの知り合いの化けノ神のことかい?」
鴎外がそう言うと、
「小泉?」
ハウルが誰なのか、分からないという風に首を傾げる。
「僕の友人さ。で、話を戻すがその亡霊は洋風の服装なのかな?」
鴎外がそう聞くと、ハウルが首を横にふる。
「いや、それが和服みたいなんだよ。ある絵がきてからその霊が出始めたっていうもっぱらの噂。」
「ある絵って?」
Aがそう聞くと、
「…」
蓮之助も真剣な面持ちで見つめる。
「僕が住んでるドイツから送られたものらしい。黒髪美人の和服を着た女性の絵だって。絵の名前は、"陽だまりの少女・早月"だってさ」
「早月…?」
蓮之助が驚愕した顔で目を見開いた。
「!」
「蓮之助?」
先程よりも様子のおかしい蓮之助に、ハウル、鴎外、Aは首を傾げた。