【明治東京恋伽】明治怪盗恋忌憚Ⅱ―森鴎外― (ページ11)

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57. 陸軍訪問!? ページ11

ーー14:00

ﾊﾞﾀﾊﾞﾀﾊﾞﾀ!!!
ハウルとA、蓮之助が俥を使って陸軍に向かうと、陸軍の本部は慌ただしくなっていた。
「…なんか忙しそうね。陸軍の人達…。」
ハウルの隣に座っているAがそういうと、
「僕のこともそうだけど、井上外務卿がきたのかもね。」
「え!?井上外務卿が!?」
「マ、マジか…」
Aが驚いた顔をして、蓮之助も顔をひきつらせて言う。
「ドイツから僕が来てしまったからね。井上外務卿も気になってるんじゃない??まぁ、僕もなにかと言って井上外務卿には世話になってるし、挨拶だけはしとかないとね。」
ハウルはそう言って淡々と答えた。そして、三人で本部の中へ入ろうと俥から降りれば、
「お待ちしていました。Mr.ﾊｳﾙ」
「「!!」」
ある人に声をかけられた。ﾊｳﾙと一緒に蓮之助とAは振り向いた。
「お出迎えありがとう。Mr.鴎外」
そこにいたのは、白い軍服をきた鴎外だった。
「鴎外さん！」
「やぁ、A」
鴎外が穏やかな顔を笑みを浮かべた。Aが鴎外の目の前に立つ。
「お久しぶりです！鴎外さん！」
「久しぶりだな。驚いたよ。Aがハウルくんと知り合いとは。いつ知り合った??Aはシェイクスピアも嗜んでいるのか??」
「少しだけですよ。四年前に偶々こっちにきたハウルと出会って、気があって友達になったんです。その頃にドイツ語を教えてもらったこともあるだけで」
「そうだったのか。」
「はい。ところで鴎外さんもハウルのこと知ってるんですか??」
「ああ。彼は陸軍の中で唯一の魔法使いとして有名なのだよ。前に彼の実力を見せてもらったことがあったんだ。転移魔法をね」
「転移魔法…?」
「ああ。いきなりか彼が陸軍に現れてな。"今日は忙しいよ?引っ越しだ!!"と叫んでね。大がかりな引っ越しの準備でもするのかと思えば、陸軍の本部と外に魔方陣を書いて、一瞬で本部の内部だけを上野の方へ転移させてしまったんだよ。」
「す、すごい…」
「ああ。陸軍の誰もが彼の実力を思い知らされたよ。周囲からはある事情で、白い目で見られていた彼だったが、一瞬で陸軍の者達を黙らせた…。」
「それって…この東京で初の国際結婚のことですか??ハウルのご両親の」
「…知ってたのかい?」
鴎外がびっくりした顔でAをみた。
「はい。ハウルが話してくれました。それで家を離れて、魔法使いの叔父の家にいた、と」
「そうか…。」
二人は、ハウルの方を見た。
「彼は君と同じで強いのだな…」
鴎外がポツリと呟いた。