41. 二人の過去 ページ44
二人がいたのは、鴎外の書斎だった。蓮之助は窓際の壁に寄りかかり、鴎外と向かい合う。
「…煙草を吸っても?」
「ああ。構わない」
鴎外の言葉に、
「すみません。」
蓮之助は一言謝ると、懐から煙草とマッチを取り出して言う。
「ﾌｰ…」
紫煙を吐き出すと、蓮之助は静かに話を始めた。
「…俺とｱｲﾂと出会ったのは、もう11年前も前だったでしょうか。京松屋の次男として生まれた俺が、上野で同じ呉服の商いをしていた､深雪の家の婿養子になることが決まった時です。」
蓮之助がそう言うと、
「11年前…!?」
鴎外が驚いた顔で言う。
「えぇ。俺が13､深雪が12歳の時です。」
蓮之助はそのまま続けた。
〜回想〜
「私、許嫁なんていらないっ」
深雪は、イライラしたような顔で言う。
「(…偉い気の強い女だな…。)」
幼い蓮之助は、冷や汗を額にたらりと流す
ーー初めの印象はあまり、今の自分でも良くなかったかと思います。
「こら、深雪！」
「絶対嫌だからっ！」
幼い深雪は、首をﾌﾝｯと横に降る。
当時の俺は、頭の出来が良かったせいか、既に本音と建前を使い分ける生意気な子供でした。
同じ年頃の子供に合わせるのも疲れる。かといって家に居ても、次男の俺では長男よりも前に出ることは許されず、自分を押さえつけることを強要されることがほとんどでした。
ーーそれはひとつの生きる術みたいなものでしたが。
「(おほらし…。俺だってこんな気の強い女､嫌だよ…)」
蓮之助は、ﾆｺﾘと笑ったままで薄い笑みを浮かべる。 …いつからか本心を隠すうちに、口に出すことが出来なくなっていた。
ｶﾞｯ!!
突然深雪が、蓮之助の顔を手で鷲塚んだ。
「あんた今､"俺もこんな嫌だ"とか思ったでしょっ!!」
「!?」
蓮之助は驚いて目を見開く。
「私、相手の顔見たら、大概何を考えてるのかわかるのっ」
深雪はそう言って、蓮之助告げる。
「下手な作り笑いするのやめてよ！そんなの、が私に通じると思ったら大間違いよ！」
「!!」
…驚きましたよ。流石に。
上手く隠していた心の中を、深雪だけは気づいたから…。
深雪には､何も隠せない。
何も隠さなくていい。
深雪の側ではありのままでいられる。
俺の中で深雪は、そんな存在になっていました。
昔から気が強くて、腕も口も立つ奴でしたから、言い合いで一度も勝てたことはありません。
いつも一歩先を行く深雪の隣にいつか立ちたいと思った…。
ーーけれど。
俺は知らなかったんです。ｱｲﾂが抱える本当の闇を…。
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ﾚﾝ(プロフ) - 白玉さん» 更新お疲れ様です(>_<) いつも楽しく読ませていただいています。これからも更新楽しみにしております！ (2019年11月21日 13時) (
レス) id: 921bb5c416 (このIDを非表示/違反報告)
ﾚﾝ(プロフ) - 白玉さん» ようやく更新できました( ；∀；) 良ければ遊びに来て下さい (2019年10月2日 18時) (レス) id: 7f53fd8807 (このIDを非表示/違反報告)
ﾚﾝ(プロフ) - 白玉さん» ありがとうございます！励みになります！ (2019年9月11日 13時) (レス) id: 48b9dbf864 (このIDを非表示/違反報告)
白玉(プロフ) - ﾚﾝさん» お久しぶりです( `･ω･´ )ネタ探しわかりますなかなか妄想力も伴わないと書けないですよね笑楽しみにしております！ (2019年9月10日 15時) (レス) id: e6c45e943e (このIDを非表示/違反報告)
ﾚﾝ(プロフ) - 白玉さん» 返信遅くなりました！m(__)m ぼちぼち更新していこうと思いますが、中々進みません(--;)困った。早く更新できるようにネタ探し中汗亀歩きになりがちですが、気長にお待ちくださると嬉しいです(*^^*)今日は更新できるかなぁ。 (2019年9月10日 10時) (レス) id: 48b9dbf864 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾚﾝ | 作成日時：2019年5月10日 22時
