27. 怪盗、語る。 ページ29
―――数分後。
「…」
「…」
二人は無言で向き合う。
「顔を会わせるのは初めてだね。蓮之助からｱﾝﾀの話はすこし聞いていたよ。"幼馴染"同然の大切なやつがいるってね。」
音奴がそういうと、
「そう。それは嬉しい。初耳だわ」
Aは、にこりと笑う。
「どんな奴が来るかと思って身構えてたけど、拍子抜けしちまったぜ。こんな偉い別嬪がくるとはな。」
声が低くなる。音二郎の時の口調に戻っていた。
「あら。お口がお上手ね。拍子抜けした？」
Aがそう言って、首を傾げる。
「いや、期待以上だったよ。いろいろと。」
「あら､そう」
Aは、そう言ってｸｽｸｽと笑う。
「でも、こんなところで売り手の歌舞伎役者､川上音二郎に会えるなんて光栄ね。あなた有名人だし、あなたのお芝居結構好きなのよ。」
「へぇ、それは良かった。で？おまえがあの世間騒がせている怪盗だよな??」
彼は、川上音二郎として、聞きたいらしい。
「…ええ、そうよ。分かってると思うけど、この事は…」
深雪が真剣な顔で頷くと、
「分かってるよ。"他言無用"だろ?蓮から耳がタコになるぐらい聞かされてるよ。だが、ｱﾝﾀも少しは自分を知る人間がいた方がいいだろ?」
「まぁ…そうね。少し回りに気を張り積めてないと行けないけど。」
「そんなにか？」
「当たり前よ。私､これでも警察に終われてる身なのよ。指名手配されてるかもしれないしね。」
「そうだな。お前さん､かなりの遣り手みたいだしな。でも、なんで怪盗なんかしてるんだ？見たところ、ｱﾝﾀ女学生だろ？」
音二郎がそういうと、Aは遠くを見つめるように言う。
「…私、"魂依"なの」
「え？」
「この力のせいで､昔嫌なことあって。それでとある人から、私の力は人のために役立てられるってことを知って怪盗になったの。これでも怪盗は楽しいわ」
Aは、そう言って自嘲ぎみに笑う。
―――そう。ｼﾞｬﾝﾇであれば、暗い夜を怖がらずに、怯えることもない。
―――強いｼﾞｬﾝﾇで、私でいられる。
ここが、私の居場所だって、心の片隅でそう思うことがあるから。
「…自分の身が危険にさられても、そんなに絵を盗む方が大事かい??」
「…大事だよ。好きでしていることだし、嫌いじゃないからね。これは私にしかできないことだから。…だから、やる。それだけのことよ。」
「…そっか。後悔はないんだな」
「…あるわけないでしょ」
Aがそう言って笑う。
だから…
――この十字架を奪う人は､決して許さない…。
28. 怪盗、芸子になる!?→←26. 正体を明かす!?音二郎との出会い!
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ﾚﾝ(プロフ) - 白玉さん» 更新お疲れ様です(>_<) いつも楽しく読ませていただいています。これからも更新楽しみにしております！ (2019年11月21日 13時) (
レス) id: 921bb5c416 (このIDを非表示/違反報告)
ﾚﾝ(プロフ) - 白玉さん» ようやく更新できました( ；∀；) 良ければ遊びに来て下さい (2019年10月2日 18時) (レス) id: 7f53fd8807 (このIDを非表示/違反報告)
ﾚﾝ(プロフ) - 白玉さん» ありがとうございます！励みになります！ (2019年9月11日 13時) (レス) id: 48b9dbf864 (このIDを非表示/違反報告)
白玉(プロフ) - ﾚﾝさん» お久しぶりです( `･ω･´ )ネタ探しわかりますなかなか妄想力も伴わないと書けないですよね笑楽しみにしております！ (2019年9月10日 15時) (レス) id: e6c45e943e (このIDを非表示/違反報告)
ﾚﾝ(プロフ) - 白玉さん» 返信遅くなりました！m(__)m ぼちぼち更新していこうと思いますが、中々進みません(--;)困った。早く更新できるようにネタ探し中汗亀歩きになりがちですが、気長にお待ちくださると嬉しいです(*^^*)今日は更新できるかなぁ。 (2019年9月10日 10時) (レス) id: 48b9dbf864 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾚﾝ | 作成日時：2019年5月10日 22時
