地獄ではない (ページ1)

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逃亡ページ1

red. side

「ﾊｱｯ､、ﾊｯ､､ｯ､､､､ｹﾞﾎｯ･･･ﾊｯ、くそっ・・」

・

何かから逃げるようにして必死で走って

雨の中足がもつれそうになりながらも走って

もうこのまま地球の果てまで行けたらどんなに楽かと思ったけど
降りしきる雨の中徐々に、でも確実に俺の体力は奪われていって

ついに暗い、汚い路地裏で荒い息を吐きながらしゃがみこむ

あー・・・俺なんでこんなことになったんだろ

壁にもたれかかってるとこれまでの人生が映画のフィルムみたいに頭の中を駆け抜けていく
あ、これが走馬灯か、なんてどっか他人事みたいに考えてるうちにもう頭の中の映像は終わっていた

ほんと、ろくなもんじゃなかったな

この18年間

こんだけ生きてきて幸せだと思えた瞬間なんて片手で収まるくらいしかなかったし

この先ずっと逃げ続けるしか道がないんだったら

もういっそここで野垂れ死んだほうが楽なんじゃないか？

一度そう思ってしまうと、もうそれしか考えられなくなって

「一応、誕生日だったんだけどな」

そう一言呟いて、俺はゆっくり目を閉じた

・

そういや俺、何から逃げてたんだっけ？

目の前の事実から？

捕まるかもしれない恐怖から？

・・・罪悪感？

ああ、それはないか

もうなんでもいいや

朦朧とする意識に身を任せようとした

その時だった

『びっ・・くりしたあ・・・

ちょ、めっちゃ濡れてんじゃん！大丈夫！？

おーい！』

ひどく驚いたような男の声と、強く肩を揺すぶられる感覚がして

意識が再び浮上していくのを感じた