レシーブあってのトスとスパイク。 ページ14
ﾀｯﾀｯﾀｯﾀｯ…
軽快な音を立てて通学路を走る。
ちょっと寒い空気の中を、自分の一番好きなペースで。
春の風と一体化するようなこの時間が、私は多分一番好きだ。
学校に着いて時計を確認すると、6:30。
朝練が始まる30分前を目安に部室を開けるのが、今の私のルーティンと化している。
最初の遅刻ギリギリの時を考えたら、すごく成長したと思う。私、超立派。
体育館を見るともう電気がついていた。待って、まさか遅れた！？
とりあえず大声で謝れば、大地さんは許してくれなくてもスガさんが少し庇ってくれる…！
私は体育館の扉を空けて大声で
『すみません！！遅れました！！』 って言ったら、
そこにはスガさんと田中、あとあの一年コンビがいた。
「ブワァッハッハッハッハ！！A、遅れるも何もまだ始まってねぇぞ！！」
どうやら一年コンビの試合のために、朝5:00から秘密の自主練をしているらしい。
マジかよ、私ならそんな早く起きらんないよ…
っていうか、恥ずかしっ！！私、勝手に遅れたと勘違いしてでっかい声で謝ったぞ！？
無性に田中にムカついたので、背中に一発蹴りを入れておいた。
「どうしたA〜、勘違いは恥ずかしいかもしんないけど、
一年の頃に比べたらだいぶ偉くなったと思うぞ。」
ここで私がかけてもらえて嬉しい言葉をかけてくれるのがスガさんである。
『スガさぁ〜ん！マジ天使。』
「天使って(笑)大げさだなぁ。」
これが噂に聞く大天使スガエル…！！尊い。
どうやら影山君と田中はスパイク練習、スガさんと日向君はレシーブ練習と
分かれて練習しているみたいだ。
日向君はスパイク練習の方が気になって、
レシーブ練習に集中できてないみたいだけど。
痺れを切らした日向君が
「俺も打ちたい！俺にもトスあげてくれよ！！」
と言い出した。
影山君が、練習を邪魔するなとでも言いたげにひと睨みするも、
日向君には全然効果なし。
「なぁ、お前トス大好きなんだろ？じゃあ、俺にもあげてくれよ！
一本だけ！試しに一本！」
キラキラした the純粋無垢！！みたいな顔して言うから、
できるもんなら私が上げたいわって思ったけど、影山君は
「嫌だ」と一刀両断。
勝ちに必要ない奴には、トスをあげないんだって。なんか影山君らしい理由。
レシーブあってのトスとスパイク、という言葉は、少し刺さるものがあった気がした。
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楝色(プロフ) - 紗奈さん» ありがとうございます！！今後とも『烏野のバカ2年トリオ。』をよろしくお願いします。 (2020年5月23日 20時) (
レス) id: c545d3271f (このIDを非表示/違反報告)
紗奈 - 面白いです！ (2020年5月23日 20時) (レス) id: b7b3f2396a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楝色 | 作成日時：2020年5月9日 2時
