安吾さんのアシスタントをしております！！参

８８.何時だってピンチは突然に ページ5

「えー！！Aのお兄ちゃんなの！！？？」

教室から校舎を揺るがす程の悲鳴が上がる。

『…………ウン、マアネ………。』

ヤバい。もう帰りたい。
安吾さんには聞こえただろうか。

「えーいーいーなー！！紹介してよ！！」

でた〜！！
“彼氏欲しい系女子力高い女子”の
「紹介して」発言！！

それは駄目や……。
勢いでお兄ちゃん扱いをしてしまったが安吾さんは政府の重要人物だ。
民間人に姿を晒す訳にはいかない。

『……………ごめんね〜
お兄ちゃん、彼女居るんだよね〜

……………じゃあ、私そろそろ帰るから…………』

ゆったりとした自然な動作でお弁当を片づける。
にこやかに手を振りながら〜
そう、私は兄が迎えに来て早く下に行かないといけない人〜。

よし、もう出れる！！準備万端！！
ヒアウィゴゥ！！

「まだご飯食べ終わってなくない？」

でた〜！！シンプル過ぎて答えに困るやつ〜！！

『………………車で食べるから大丈夫っ！！』

Ｖサインッ！！！！かんっぺきや………。

『じゃあ、みんな部活頑張ってねっ！！！！
アディオス！！！！』

「バ〜ァイ！！気を付けてね〜！！」
皆がそれぞれに手を降ってくれる。

ヒラヒラと手を振り返しながら、異能力は使わずに、なるべく早く教室から立ち去る。

五階分の階段をダッシュで駆け降りる。

もうすぐ正門だと言うところで誰かとすれ違う。
誰…………？？
青色のツンツンした髪に黄色の三角形の眼鏡。
そんな人見たこと無い。

まぁいいや！！

校舎から出ると、春にしてはきつい日差しに目が眩む。
眉間に皺を寄せながら教室の窓を見上げる。
覗いている頭は………無いな！！良かった！！

『安吾さん！！お待たせしました！！』

車に凭れながらスマホを触っていた安吾さんが楽しそうに此方を向く。

「いつの間にか僕はお兄ちゃんのようですね。」

『いやー！！！！忘れて下さい〜！！！！』

あの場ではああ呼ぶしか無かったんだ！！！！
普通の女子高生は家族でもない人が迎えに来たりしない！！

頭を抱えてしゃがみこむと、機嫌良さそうに笑いながら来た安吾さんが頭を軽く撫でてから手を引っ張ってくれた。

「今度からは校門から離れたところにしますね。」

『是非お願いします………。』

顔を上げて笑うと、彼もニッコリと笑った。

その瞬間、凍りついたように笑顔が消える。

「A……。」

安吾さんが私の手を引く。

彼の後側に転がり込んだ。
慌てて振り返った刹那、安吾さんが黄色い光を発する煙に包み込まれる。

『……………安吾さん！！！！』

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