52.救出 ページ9
『鏡花ちゃん!!』
空中で気を失った敦君をキャッチし、鏡花ちゃんを連れて船から飛び降りる。
今度は海面スレスレの状態で国木田さんの高速艇が私達三人をキャッチ!!
ギリギリセーフ!!
数秒後、背後で爆発音がして船が沈んだ。
「良くやったな、敦。」
『………国木田さん、敦君の事名前で呼んでましたっけ?』
「ううう五月蝿い!!社員ならば名前で呼ぶのが当然だろうがぁ!!」
何故か顔を真っ赤にしながら怒る国木田さん。
えぇ〜。なんで私怒られてるの〜。
「………………Aも良くやった。」
『え!?本当ですか!?
ありがとうございます!!』
国木田さんに褒められる事なんて滅多に無いのでわかりやすく喜んでしまうと、苦笑いしながらも片手で頭を撫でてくれた。
『えへへへ(笑)』
「にやにやするな。」
敦君は気絶したまま、鏡花ちゃんも船から飛び降りたまま気を失っている。
『…………芥川さんは大丈夫でしょうか。』
真っ直ぐ前を向いたまま高速艇を運転する国木田さん。
大きな波飛沫をたてながらフルスピードで走る高速艇はかなりの大声じゃないと声も届かない。
かなりの高さから爆発する船の間近へと落下した芥川さん。
だいぶ遠くになった船の残骸は今だ炎をあげ続けている。
ボロボロの状態で気絶したままあの中へと突き落とされたら………。
想像するだけでも恐ろしい。
気が付いたら私は、高速艇を離れて空中に佇んでいた。
国木田さんと敦君、鏡花ちゃんを乗せた船は遠く港へとまっしぐらに進んでいく。
一人、私は皆に背を向けて、船の残骸へと戻り始めた。
海面広範囲に拡がる船の残骸は今だ燃え続け、ある程度の高度を保っていないと、近付けない部分も多い。
『ぁあくたがわさん……』
両手を口の近くに当て、取り敢えず名前を呼んでみた。
が、返事はない。
無理も無いか………。
あの高さから落ちたのなら死んでるかもしれない。
燃えずに海を流れる破片に足を置き、ピョンピョンと飛び越えていく。
突然、視界の端に映った黒い塊。
通りすぎかけた身体をギリギリ留めて空中で急ブレーキをかけた。
『芥川さん!!』
ザバンと音を発てて海面から浮き上がる芥川さん。
宙に浮いたまま、意識のない彼を両手で支える。異能力を使っているから、何とも言えないが、多分普通の同じ年頃の男性よりもかなり軽い。
白い顔は海の冷たさでさらに血色が悪くなり、
戦闘中には恐ろしく見開かれていた瞳も大人しく閉じ、長い睫毛が儚い影を落としていた。
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あねもね(プロフ) - 美少年になりたいさん» ありがとうございます(><*)ノ~~~~~ (2018年3月12日 8時) (レス) id: 57ead714e4 (このIDを非表示/違反報告)
美少年になりたい - とても良いです。(ΦωΦ) (2018年3月12日 0時) (レス) id: 2195e11dec (このIDを非表示/違反報告)
あねもね(プロフ) - 天野紗綾さん» えそんな私のでよろしいんでしょうか!?凄く嬉しいです!!どうぞよろしくお願いいたします!!すみませんありがとうございます!! (2018年1月4日 15時) (レス) id: 57ead714e4 (このIDを非表示/違反報告)
天野紗綾 - 天野です。突然で申し訳無いのですが、私のお気に入りリストにあげさせていただいてもよろしいでしょうか? (2018年1月4日 0時) (レス) id: 17282353fe (このIDを非表示/違反報告)
あねもね(プロフ) - 天野紗綾さん» ありがとうございます!!そう言って頂けるのはもう最高に嬉しいです!!ありがとうございます!! (2017年12月19日 19時) (レス) id: 57ead714e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あねもね | 作成日時:2017年8月7日 11時