49.僕の名は ページ6
夏とは言え、海の上は寒い。
フルスピードで海上を走る高速艇は、大量の水飛沫を跳ね上げ、髪までじんわりと湿っている。
敦君が乗せられたのは密輸用の大型貨物船。
国木田さんの乗る高速艇の上空5mくらいで浮遊しながら追いかけると、直ぐに目の前に大きな壁が立ちふさがった。
「A!!飛び移れるか!?」
『任せて下さい!!』
勢いを付けて船上の高さまで飛び上がる。
船に足を掛けようとしたその刹那…………
目の前で爆発が起こった。
「A!!」
簡単に吹き飛ばされた私は海上に逆戻り、ギリギリセーフで国木田さんにキャッチして貰えた。
「A!!大丈夫か!!しっかりしろ!!」
目の前どアップな国木田さんの表情。
今現在、船に落ちた私の背中は国木田さんの右腕に支えられ、右立て膝をした国木田さんの左足に座っている状態だ。
…………ちょっと恥ずかしいかな。うん。
『大丈夫です。大丈夫です!!』
「何故二回言った?本当に大丈夫か?」
『本当に大丈夫ですよ!
じゃあ行ってきます!!!』
持ち上がっていないお姫さま抱っこ状態から一気に飛び上がると、船の上は修羅場と化していた。
船の至る所で爆発が起き、物理的な衝撃による被害も、民間人の戦闘力ではとうに越えられないものとなっている。
これをやったのが敦君………?
『敦君!!』
「Aちゃん!来ちゃ駄目だ!!」
「敦!!爆発でこれ以上近づけん!!
Aの異能で降ろして貰え!!」
船から高速艇の国木田さんを見下ろす敦君。
「待って下さい!鏡花ちゃんがまだ中に!!」
国木田さんの止める声も聞かず、また船に戻っていった敦君を追いかけ船の上に着陸した。
「ゴホッ…お仲間に助けて貰う等実に甘い考えだな人虎。」
ゆらゆらと揺れる真っ黒な外套を着た細身の青年。
「芥川!!」
「小娘。此処は貴様の居場所ではない。
それに、其処の人虎は救助に値する価値等無い。
大人しく巣に戻れ。
聞かぬと言うなら海の藻屑と共に消え去るがいい。」
カチン。
今のは私のイライラゲージがレッドゾーンを示した音。
『初対面の相手に名乗りもせずに小娘呼ばわりとは随分と失礼では有りませんか?』
「何だと?」
『私は探偵社の調査員、Aと言います。
貴方は?』
まあ、手配書で何度も見たし知ってるけどね。
眼力だけで殺されそうな目で睨みながら口を開く。
「
君の名は!!?ってボケようかと思ったけど、知らなさそうだったので止めた。
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あねもね(プロフ) - 美少年になりたいさん» ありがとうございます(><*)ノ~~~~~ (2018年3月12日 8時) (レス) id: 57ead714e4 (このIDを非表示/違反報告)
美少年になりたい - とても良いです。(ΦωΦ) (2018年3月12日 0時) (レス) id: 2195e11dec (このIDを非表示/違反報告)
あねもね(プロフ) - 天野紗綾さん» えそんな私のでよろしいんでしょうか!?凄く嬉しいです!!どうぞよろしくお願いいたします!!すみませんありがとうございます!! (2018年1月4日 15時) (レス) id: 57ead714e4 (このIDを非表示/違反報告)
天野紗綾 - 天野です。突然で申し訳無いのですが、私のお気に入りリストにあげさせていただいてもよろしいでしょうか? (2018年1月4日 0時) (レス) id: 17282353fe (このIDを非表示/違反報告)
あねもね(プロフ) - 天野紗綾さん» ありがとうございます!!そう言って頂けるのはもう最高に嬉しいです!!ありがとうございます!! (2017年12月19日 19時) (レス) id: 57ead714e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あねもね | 作成日時:2017年8月7日 11時