58.拝啓この手紙 ページ15
拝啓
お父さん、お母さん、お元気でしょうか。
ヨコハマに来てからというもの、ポートマフィアに誘拐されたり、拐われた仲間を助けに行ったりと、刺激的な毎日を送っています。
探偵社の皆さんも、とても優しくて良い人達ばかりです。
特務課の上司安吾さんも、堅物かと思いきや、たまに十歳年上とは思えない程可愛い姿を見せてくれる面白い人です。
それでは、また手紙を書きます。
お父さん、お母さんもお元気で。
敬具 A
ふぅ。なんとか書き終えた。
短いかも知れないが、充分頑張った方だと言えるだろう。
心配要素しかないような内容だが、本当に心配する娘だったら単身で異能力者の世界に送り込んだりなんかしない。
私の居場所は此処だけだ。
「A、ご両親へのお手紙は書けましたか?」
特務課オフィスの自席で大きく伸びをした私を見て、目の前の安吾さんは仕事の手を止めた。
『書けました。
あとはポストに放り込むだけです。』
「余り、ご両親に心配を掛けるような内容は書かない方が良いですよ……。」
心底心配しているように見える安吾さんの口調が物凄く嬉しい。
曖昧な顔で微笑み返す事しか出来なかった。
《安吾 side》
此処に来てからというもの、ずっと眉間にしわを寄せて、書いては消し、書いては消しを繰り返している。
………手紙か。ご両親への。
Aとご両親が、よくある一般家庭のような溝の無い関係では無かった事は知っている。
一般人の間では都市伝説となっている異能力を幼少期から操れたAの存在を、彼女の親は良しとしなかった。
深く知っている訳では無いが、以前から、家族の話題になると笑顔が陰るAが気になってはいた。
彼女のそんな顔なんか、僕は見たくない。
「そろそろ帰りましょうか。」
『安吾さんも帰るんですか!?』
「僕が帰る訳無いでしょう。
貴女を送ったらまた仕事ですよ。」
大丈夫です
だの
いいです
だの
ぐだぐだ言い続けるAをなんとか立たせて
上着を着せる。
「ほら、手袋をつけて下さい。」
ニヤニヤ笑う部下と目が合う。
何を見ているんですか。
そのまま椅子でグルグル回りながら僕達の前にやってくる。
「Aちゃんはいいですねぇ。安吾先パイがそんな甲斐甲斐しく世話をやく人なんて、
Aちゃんしかいませんからねぇ(笑)。」
『安吾さんは優しい人ですから(笑)。』
そのまま爆笑しながら去っていく部下。
…………………後で、覚えておきなさい。
其にしても呆れる程に会話が噛み合っていない。
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あねもね(プロフ) - 美少年になりたいさん» ありがとうございます(><*)ノ~~~~~ (2018年3月12日 8時) (レス) id: 57ead714e4 (このIDを非表示/違反報告)
美少年になりたい - とても良いです。(ΦωΦ) (2018年3月12日 0時) (レス) id: 2195e11dec (このIDを非表示/違反報告)
あねもね(プロフ) - 天野紗綾さん» えそんな私のでよろしいんでしょうか!?凄く嬉しいです!!どうぞよろしくお願いいたします!!すみませんありがとうございます!! (2018年1月4日 15時) (レス) id: 57ead714e4 (このIDを非表示/違反報告)
天野紗綾 - 天野です。突然で申し訳無いのですが、私のお気に入りリストにあげさせていただいてもよろしいでしょうか? (2018年1月4日 0時) (レス) id: 17282353fe (このIDを非表示/違反報告)
あねもね(プロフ) - 天野紗綾さん» ありがとうございます!!そう言って頂けるのはもう最高に嬉しいです!!ありがとうございます!! (2017年12月19日 19時) (レス) id: 57ead714e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あねもね | 作成日時:2017年8月7日 11時