安吾さんのアシスタントをしております！！壱

４３.太宰君 ページ49

《安吾 side》

武装探偵社社員寮階段を昇り終えたAが部屋の前で此方を振り返る。

『安吾さん！おやすみなさい！！』

元気いっぱいの囁き声が風に乗って僕の耳に届く。ペコリと勢い良く頭を下げるAに軽く礼を返し、車に乗りこんだ。

さて、帰ってまた一仕事やりますか………。

突然、ポケットに響く振動音。
着信を表すスマートフォンの画面に浮かんだ名前は、太宰治。

「やあ、安吾。Aちゃんとは上手くいっているみたいだねぇ。羨ましい限りだよ全く。」

電話越しに聞こえるハイテンションボイス。

「Aは仕事仲間です。
太宰君こそ、こんな夜中にどうしたんです？」

「こんな夜中にAちゃんが安吾の車から出てきたからちょっと気になってぇ〜。」

強靭な精神力を持って、通話終了ボタンを押そうとする親指を止める。

「もっと優しく声掛けしてあげた方がいいんじゃないの〜？？

『ありがとうございます！！』
って可愛く言うAちゃんに対して

「別に。」
はちょっと無いんじゃないの〜？？」

「似てませんから。僕とAの真似をするのは止めてください。」

頭痛がしてきた………。
絶対楽しんでますね………。

「まあ、大事にしてくれたまえよ。
私の仲間なんだから。」

「言われなくても分かっています。」

「Aちゃんこの間うちの事務員とバレンタインについて盛り上がってたよ。

あ、今の独り言だから気にしないで〜。」

「いや、独り言の流れじゃないでしょう！！」

僕の叫びは相手の居なくなったスマートフォンに当たり、虚しく車内に響き渡る。

バレンタインって２月ですよね……。
「………まだ早くないですか？(笑)」

僕の独り言を聞く者は誰もいない。
暇潰しにつけたカーラジオが２３：００を告げた。

《太宰 side》

新しい自 殺法を試そうと、ベランダから吊るされたのは良いものの、痛いだけで一向に死ねない。

そんな時に地上に見えたのは………
Aちゃんと安吾じゃないかぁぁぁ！！

え〜安吾狡いなあ〜
私もAちゃんとドライブしたいなぁ〜

私の聴力を持ってすれば、例え二階にいても耳をすませばひそひそ声で話す一階の男女の話等、聞くのは簡単な事だ。

夜中に女子高生を連れまわして政府の役人が警察沙汰なんか、私しか笑えない。
…………楽しくって笑いがとまらな〜い。

ロリコンキャラはどっかの医者で十分だ。

事件が起きる前に注意しておかないとな。

部下を守るため、篤い信念を持ってスマートフォンのボタンを押した。

４４.電車から川にダイブとか……→←今更………設定！！

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