安吾さんのアシスタントをしております！！壱

４.特務課道中 ページ4

『お待たせ致しました！！
遅くなってすみません。』

「いえいえ、５分も経っていませんよ。」

そう言いながら助手席のドアを開けてくれる。

「じゃあ行きますか。」

安吾さんがドアを閉めると車内で流れるラジオが鮮明に聞こえてきた。

異能特務課エージェントは過酷な仕事だ。
国内で勃発するあらゆる異能犯罪の被害を最小限に抑えるため日夜仕事に追われている。
そんな中で時事情報を手早く手にいれるためにはラジオが最適だ。

【５時になったらリクエストターイム！！

一曲目はヨコハマ市にお住まいの二十二歳男性
ラジオネーム死にたがりさん
から〜。

「同じ仕事の相棒に仕事をしろと怒られるんです〜。ただ私は死にたいだけなのに〜。
元気を出したいのでこの曲をお願いします！！o(T□T)o」

死にたい仕事とか大丈夫ですかね？
お仕事頑張ってくださいね！？
死なないでね！！元気出して！！

GRANRODEOのTRASH CANDY！！】

………ラジオネームに物凄く心当たりがある……。

『安吾さん、今のラジオ聞きました？』

「絶対太宰君ですよね……
まあ、あんなのがヨコハマに何人もいたら困りますけどね(笑)。一人で十分です。」

『………安吾さんって
さりげなく毒吐きますよね(苦笑)』

フッとニヒルに笑ってハンドルをきる安吾さん。………絵になる……。

「ところで、今日の報告書は虎の異能力者に関するものですか？」

『そうです。
今日の夜に会議があるので、早めに上がらせてもらいますね。』

「分かりました。報告書は直接僕に提出してください。」

『了解です。』

探偵社から特務課オフィスまでは車で行っても割りと時間がある。
そのため、明日提出用の宿題は移動中に終わらせちゃおう作戦！！と題し、愛用の仕事用革バッグから英語のワークとノートを取りだし、緊褌一番、宿題に取りかかり出した。

７分後………
分からない………
ぜんっぜん分からない………
規則正しいエンジン音が眠気を誘う。
堕ちかけた瞼の裏で英単語がチカチカするが、何一つとして分かるものはない………

「A、眠いんですか？」
『そんなことないで…す…』
「眠いんだったら寝れるうちに寝たほうがいいですよ。
昨日も夜に出勤したんでしょう？」

うぅ……安吾さん優しい〜
眠い……
眠さで頭がふらふらする……

……ファサッ
安吾さんが自分のスーツのジャケットを脱いで私に掛けてくれる。

「着いたら起こしてあげますよ。
おやすみなさい、A。」

真っ白のシャツ姿の安吾さんはそう言ってニコッと笑った。

５.坂口安吾の回想→←３.超速着替え

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