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１５.はじめまして新入社員 ページ16

探偵社のドアを開けると飛び出してきたのは国木田さんの怒号。いつも通りの探偵社に一人見慣れない人がいた。

太宰さんを引っ付かんで投げ棄てる国木田さんを少々いや、かなり引いた目で見ている白髪のユニークなヘアスタイルをした細い男の子。

谷崎兄妹とは多少打ち解けた感じで話している。…………あれが噂の新入社員さんか。

私に気づいてあ、っと声をあげた中島敦さんは私の方に駆け寄ってきた。

「はじめまして！！
本日から武装探偵社でお世話になります！！
中島敦です！！」

前に立たれると思ったより背が高い。

『はじめまして〜
探偵社の調査員と異能特務課の架け橋役もしています。
Aです〜。』

「Aさん、よろしくお願いします！！」

『呼び捨てで良いですよ？
私の方が年下ですし(笑)』

えぇ〜と分かりやすく狼狽える敦さん。

「じゃあ、Aちゃんで………
僕のことは敦でも、
敦君でもご自由にどうぞ(笑)」

はにかんだ笑顔がとても可愛い。

『じゃあ、敦君、
こちらこそよろしくお願いします！！』


ＰＭ６：００

粗方社員も退社し、薄暗くなった探偵社。
私は特務課の仕事もあるためデスクワークでは残業することが多い。

理想と書かれた手帳を確認し上着の内ポケットにしまった国木田さんが腕時計を見た後カツカツと踵を鳴らして此方に向かってくる。

「A、仕事はどうだ？
俺はもうあがるが。」

『あ、あとこれだけです。』

手に持った資料をヒラヒラ振る。

「そうか。じゃあ、待っている。」

『えっいや、良いですよ！裏もありますし…。』

「そうか？
じゃあ、夜道には気を付けるんだぞ。
それから、最近ポートマフィアの報告が増えている。
この間の丸善ビル爆破事件もポートマフィアの爆弾魔がおこしたものだ。
誘拐事件等も幾つか聞いている。
お前が探偵社員だということは俺や太宰程知られていないが、用心しておけ。」

『分かりました。気を付けます。』

「分かったなら良い。戸締まり頼んだぞ。」

じゃあ、と言って国木田さんは帰っていった。

誰もいなくなったオフィスにタイプ音が響く。
………やっぱり一人はちょっと寂しいなぁ。

カバンからたまごのふわふわ蒸しパンとオレンジ色の野菜生活を取りだし、食べながらパソコンを操る。
家に帰ってご飯食べれるだろうか……。
パンもちょっと形崩れてるだけで甘くて美味しいし、野菜生活もあるから野菜もとれて一石二鳥だ。
それでも家で食べる温かいご飯には敵わない。

静かなオフィスに鳴り響く着信音。
飛び上がった拍子に足をぶつけた私はその場にうずくまった。

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