安吾さんのアシスタントをしております！！壱

１４.お仕事は上司の捜索 ページ15

ＰＭ４：３０
武装探偵社員には歩き慣れた河川敷を
今日も歩く。
上司の太宰の捜索命令が出た場合、一番に川に向かい、川から足が出てないか草むらから足が出てないかを調べるのがセオリーだ。

こうしてみると、ちゃんと探偵をしているようだが、忘れないで欲しい、探しているのは行方不明者などではなく怠惰な上司なのだ。

『早く帰って新入社員君と話したいのにな〜
もう、太宰さん何処やねん。』

思わず方言で独り言が漏れたところで太宰さんが流れてきた。今日ははやいぞ♪

制服の胸ポケットから出した細いフレームの黒いスクエアメガネをかける。

乱歩さんみたいに、眼鏡が無いと異能力が使えない訳では無いけど、私の眼鏡も社長に用意してもらった特注品。

激しい戦闘でもずれ落ちにくく、ガードがあるので粉塵も入らない。曇り止め加工もバッチリだ。他にも色々秘密兵器的特徴があるが、それはまた追々お話しするとしよう。

『却説、と。』

右手を川の中の太宰さんに向けてチョイと動かすと、太宰さんの身体は不自然に川の流れに逆らい、私の方に流れてくる。

近くまで来るとスポーツタオルを持った右手で太宰さんを掴み、川岸に引き揚げる。
《太宰さんの捜索に出る時は
タオルを持参すべし》
私が武装探偵社に来て一番に学んだことだ。

川岸に座り込んだ太宰さんは、私に髪を拭かれながら話し出した。

「今日は絶好のジサツ日和だったのに……」

『少なくとも勤務時間中はジサツしないでください！！大変面倒です！！』

「え〜それは困ったなぁ〜(笑)
あ！！良いこと思い付いた！！」

『太宰さんちょっと黙ってください。』

ビショビショのまま動き出す太宰さんを華麗に避けながら外套の水気をしぼる。

「ところでAちゃんはどうして私を探していたのかな？
あ！！わかった！！私とデートす」

『違います！！
国木田さんに探してくるよう言われたからです！！』

私の手をギュッと握って探偵社に元気良く歩いていく太宰さん。
道行く一般人の視線が痛いので切実にやめて欲しい………。

『大体太宰さんがちゃんと仕事していれば放課後に寒い川に来る必要性は無かったんです！』

「Aちゃん、眼鏡かけてるとますます国木田君に似てるねぇ〜(笑)！！」

『話をすり替えないでください〜！！』

《太宰 side》

眼鏡をかけて私を叱る可愛い部下。

「君は、国木田君よりもずっと安吾に似ているよ。」

『太宰さん、なんか言いましたか？』

「ん？(笑)なんでもないよ。」

君は特務課の人間じゃない。
探偵社所属の、私の部下だ。

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