安吾さんのアシスタントをしております！！壱

１.仕事の始まりは終業のチャイムとともに ページ1

キーンコーンカーンコーン。
春、某日。天気は晴天。
穏やかな春の陽射しは寝不足の身体にも容赦なく降り注ぐ。
襲い来る睡魔に打ち勝ち、無事本日の授業ノートを取り終えた私は満足感で一杯だ。
高校生になり一月。
神戸の親元を離れ武装探偵社で働きだして三月。学校と探偵社を行き来する新生活にも随分馴れ、社長にも新しい役目を仰せつかったり後輩が出来たりと充実した毎日を送っている。
学校を出た私は通い馴れた坂道を駅に向かって下り続ける。上司の国木田さんほどきちんとしてはいないけど、予定表を確認しながら歩いていく。
『まずは探偵社に戻って仕事着に着替え。
それから特務課オフィスで報告書の作成。』
手帳とにらめっこしながらせかせか歩く私の左側に黒塗りの高級車が横付けしてきた。
…………なんか、こんな大きな車をさらっと操れるの、カッコいいなぁ。
そんなことを思いながら手帳から顔を上げると、黒髪を後ろに撫で付けた、高級スーツに丸眼鏡の男性が運転席から軽く手を振っている。
「A、仕事熱心なのは結構ですが、歩きながら読むのは危険ですよ？(笑)」
…………え、笑顔が眩しい……彼は日本最大の異能組織《内務省異能特務課》の凄腕エージェント、坂口安吾さん。私に特務課の仕事を教えてくれる上司だ。仕事中は気難しい顔をしているくせにこういう時だけさらっと笑うためなんだか恥ずかしくなって目を逸らしてしまう。
「外回りの帰りに迎えに来ましたよ。
会えて良かった。はやく乗ってください。」
『あ、ありがとうございます！！今から行こうと思ってたんですよ！』
話ながら車を降りて助手席のドアを開けてくれる。こんなさりげない気遣いが出来るのって大人だなぁ。
『わざわざ降りて頂かなくても、車ぐらい一人で乗れますよ？(笑)』
「女性を車道側に立たすなんて危ないじゃないですか。それに、そんなところで転びでもされたら僕は貴女を助けられません。」
シートベルトを絞め直しながら言われてしまった。
『もう高校生ですよ！！転びません！！』
慌てて言い返したものの、笑って流されるばかりだ。
「はいはい。(笑)今日も一度探偵社ですね？」
『よろしくおねがいします。
ありがとうございます。』

エージェントと女子校生を乗せた車は今日も賑やかに探偵社に向かって走り出した。

２.ただのお喋りじゃないんです→

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

ラッキーアイテム

革ベルト

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す