旅の最果てに [黎明のアルカナ]

episode7 ページ10

A「だけど…私はいくら周りの方々が見下していたとしても
一度もあなた達を下にみようなんて思えませんでした。

人と違うのが可笑しいだなんて
そんなの理不尽すぎます！
私たちはどこも変わらない仲間のはずです…！」



ロキ「！」

私のその一言に 聞いていたロキさんの瞳が
真剣な眼差しに変わった。


私はその瞳に応えるように続けた。


A「私は…あなた達が好きです…大好きです。
優しくて…強くて…暖かくて
だから役に立てることがあったら何かしてあげたいし
仲良くなりたい。

きっと私みたいに思っている人 他に沢山います」


私の口調はその一言一言に自分の想いをぶつける様に強かった。

自分でも…驚くぐらいに




この蔑まれた髪の色を 綺麗だとほめてくれたのは亜人の人だった。


食事では残り物しかもらえない私に
いつもご飯を内緒で作ってくれたのも 亜人の人だった。


亜人は人間を大切にしてくれたのに
どうして私達はそれが出来ないの？


そんなの…おかしいよ


平等じゃない

悲しいよ


こんな世界…終わりたい。

どうしていつも
誰かが下にならないと成り立ってくれないの？



A「だから 私が絶対に毒をもったりなんてしないって…どうか信じてくれませんか？」


私はそう言って ふたりを真剣な瞳で真っ直ぐに見た

私はどんな返事を…されるんだろう

少しの不安と緊張

束ねた髪が吹き込んできた海風にのって揺れて
ワンピースの丈も同じように揺らいだ。



一瞬だけ太陽の光が反射した。

飛び込んできた光があまりにも眩しくて
反射的に目を閉じて

もう一度 ゆっくりと…うっすらと瞳を開いてみると


A「……！」

さっきまでは張りつめたように
冷たかった目線が優しすぎるくらいに

暖かい微笑みにに変わっていた。
こんなに暖かい瞳を…今まで受けたことがない


思わず少し泣きそうになる。

ロキ「まったく…変わった人だ」


ロキさんの大きな手が私の頭に乗せられた。
そして優しく撫でられる




小熊「あ！もしかしてロキ
さっきのやつ演技？性格悪いなぁ！」


演…技…？
男の子のその声に私は少しびっくりして
目の前にいる彼を見あげた。

A「…演…技……？」

ロキ「はい ハリーの言う通りです
少し…貴方を試しました。すみません」

そう言ってロキさんは少し気まずそうに微笑んだ。

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