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episode 4 ページ6

A「うーん!やっぱり
セナンはいい所ね!」



私は海の美しさに思わずため息をこぼした。

すると

砂浜を歩いていた
まだ幼そうな小熊の亜人が警戒するような鋭い目つきで私を見上げた。


亜人をまるで道具のように扱ってきた人間だ。
恐れられないほうがおかしい。





A「えっと…怖がらないで?小熊さん」




亜人「…」




A「大丈夫よ!お姉さん、何もしないから」




亜人「…ウソだ」






閉ざされてしまっていた口がやっと開いた。



A「信じて?嘘じゃないわ」


そう言って優しい笑みを向けたが
その少年の瞳の中は
いっそう険しくなってしまった。



亜人「お姉さんみたいな人間は…貴族は!
どうせ僕達のことを道具だとしか思ってないんだろっ!」



A「!」



確かにそれは否定できない事実だ。


今はセナンに隔離された亜人だけど
昔はひどい扱いをうけていたという内容の本を
私は沢山読んだ。

だからこそ私は…薬を配りたいの


A「じゃあ…お姉さんは
絶対にそうじゃないってどうしたら信じてくれるかな?」

私は 彼の目線に合わせて少しだけしゃがんだ。



亜人「…っ!」

少年はそう言われることが予想外だったのか
少し戸惑ってから
自分の尻尾を握りながら口を開いた。




亜人「じ…じゃあ
その籠に入ってる薬を全部僕にくれよ!
どうせ高い値段で僕達みたいな亜人を騙して売りつけようとしてたんだろっ…!?

本当はなんの効果もない
ただの毒のくせに!」

A「っ!」



私は薬だと嘘をついて騙しておいて
こんな幼い彼の財布から毒を渡してお金を取っていった人間が許せなくて
一気に全身が怒りで熱くなった。



A「ちょっと…見ててね」

私は砂浜に落ちていた貝殻を拾って
大きな岩石に叩きつけた。




亜人「な!何してんだよ…!」



もろい貝殻は
すぐにあっけなく割れると
そのうちの手に持っていた欠片で私は自分の腕を思いっきり引っ掻いた。


A「っ…!」


ビリッと 腕全体に痛みが走ると同時に
蛇口をひねったように 赤い血が腕をしたたってくる。


亜人「おい…!」


私は切っていない方の手で 自分の瓶を何とか開けて血がしたたる手に塗った


A「これがもし毒だったら
わたしはこの後 たしかに死んじゃうね」

亜人「っ!」

彼は恨む様に鋭かった目線をふっと緩めた


亜人「毒じゃ…無いの…?」

私は瓶を開けた方の手で 彼の頭を優しく撫でた。
A「当たり前でしょ?」

感謝の言葉[全然飛ばしてくれて構わないです!]→←episode 3



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まんじゅう - 子ねこさん、本当にコメントありがとうございます…!!本当にすごく嬉しくて励みになりました!子ねこさんのことが大好きです!本当にありがとうございました!更新が遅れてしまってすみません汗 (3月16日 21時) (レス) @page25 id: c2801811dd (このIDを非表示/違反報告)
子ねこ(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください! (2017年8月18日 7時) (レス) id: c1c8e0d2e6 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅう - ももさん» ももさん本当にコメント下さってありがとうございました!!おおお!ロキがかっこいいだなんてありがとうございます!目指していたところなので凄く嬉しいです!はい!これからも頑張りますね!本当にコメントありがとうございました! (2016年10月18日 19時) (レス) id: ea9e0a7961 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅう - 香音さん» はい!分かりました!香音さんの素敵なアドバイスのとおりナカバと交流させますね!コメント嬉しいです!ありがとうございました! (2016年10月18日 19時) (レス) id: ea9e0a7961 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅう - 香音さん» 香音さんコメント本当に嬉しいです!!ありがとうございます!前からコメントして下さってましたよね!?本当におくれてすみません!ありがとうございます!ロキキャラ崩壊してないか不安だったので凄く嬉しいです! (2016年10月18日 19時) (レス) id: ea9e0a7961 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まんじゅう | 作成日時:2015年10月24日 19時

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