旅の最果てに [黎明のアルカナ]

episode 19 ページ22

兵士の人の言葉に私は驚いた


A(…あの私を庇った時
そこまで考えて守ってくれていただなんて…)


兵士「まあ…ロキさんは
少し前の年までは長年ナカバ様を守ってこられたからな。
そりゃあもう…ロキさんに叶うものはいなかった」


彼の言葉に

私はどうしてあれほどまでにロキさんが
闘うことに対して慣れていたのかも
無敵だったのかも知った


彼の無敵さは長年従者であった
経験から来ていたのだ


そして何よりも



私は


ロキさんの命に別状がない事が

この上ないぐらいに幸せだった

A「………かった………良かった…！

ロキさん…っ」

思わず安心して
気が緩んだ涙が流れる

思わず笑顔もこぼれた


今度は嬉しい方の涙がひたすら溢れる


もう何度今日で涙を流すことだろう

私は彼の大きな手を握って
泣きながら彼が無事でいてくれた嬉しさにひたった



ロキ「…まだ
泣いていたのですか？

いい加減泣き止んでくれないと…本当に泣くのが趣味ですね…貴方は」

ロキさんは徐々に意識を取り戻して
きているのか

私の涙に触れ可笑しそうに小さく笑った


A「もう…っ…ひどいです…心配していたのに」
私は彼の笑顔が嬉しくて

つられて泣きながらも笑った


彼は私の笑顔に優しく微笑み返すと


ロキ「…すみません。
本当はもう少し簡単に貴方を連れ去れると思ったのですが

もう大部 剣を握っていなかったのが
うかつでしたね」
と自分に呆れるように空を見上げた




私はその言葉に大きく首を振った


A「いいえ！

ロキさんが助けてくれなかったら
本当に私…今頃死んでしまっていました…。

ロキさんは私を守ってくださりました…！」



申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら
そう言うとナカバ様が

「貴方が…まさかここの国の姫君の
A＝シャンデラさん？」

と驚いた顔で聞いてきた


A「……はい。そうです」
私は静かに頷いた

この名を呼ばれるたびにある光景が蘇ってしまい

ナカバ様から名前を読んでもらえたというのに
暗い表情を向けてしまった


“お前は悪魔だ！A＝シャンデラ”



脳裏から焼きついて離れられない
心のとげを作ったあのコトバ




ナカバ「髪…私と同じね。凄く…綺麗よ」

だけどナカバ様は
優しく
そして嬉しそうに私の髪に触れて微笑んだ

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