旅の最果てに [黎明のアルカナ]

episode 1 ページ3

北にセナン…南にベルグート…西にはパカル…それぞれの国が争い絶えず分離した。

セナンへは亜人だけが住み ベルグートには人間だけが住み
パカルはベルグートに従い亜人を避けた

そんな時代の物語である。






ー1998年 パカルー

家来「ついに産まれたぞ！女だ！
姫君だっ！」




使用人「ええ
元気な鳴き声を上げていらっしゃりますわ！」




その日

宵が明け
6月6日を迎えたパカルの宮殿は
深夜の闇のような暗さの空の中にも関わらず
明るい声を上げていた。





パカルに「女」が産まれた場合は、ベルグートに嫁がせるという契約をし
沢山の手助けを
ベルグートからして貰ったにも関わらず

一向に「男」しか産まれてこず
ベルグートだけでは無く 王さえ王妃に対して腹を立てていた。





そんな「男腹」である王妃が
ついに産んだ奇跡の姫だ






喜ばないはずがない





家来「皆のもの
ついに姫君の顔が拝めるぞ！」




使用人「ああ………やっと
ベルグートへの恩を返せますのね！」





だがその喜びは
梅雨の中の時雨のようにたった一瞬だけのものだった。






扉を開けた瞬間に待っていたものは

怒りも混じったような、気難しい顔をした王と






その横の王妃の腕の中に抱かれた









青い髪をして
懸命に泣き声を上げる姫だったのだから。

episode 2→←prologue

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す