旅の最果てに [黎明のアルカナ]

episode 15 ページ18

A「…死なないで……！ロキさん」

私は彼の服を脱がせて

背中の深い
傷口に何度も何度も薬を塗りながらそう願った。

傷は貫通している

背中に乾ききっていないロキさんの血も混じりながらつく

こんな薬…痛み止め程度しか無いけど
やれる事があるなら何だってしたかった。


A「どうして……？どうして…こんな私を」

涙は頬をつたって
ロキさんの背中に落ちた。


1滴…2滴



私と出逢わなければ
ロキさんはこんな目に遭う事なんて無かったのに


あの時……いっその事



A「私が…死んでしまえば良かった」


悲しくて


悲しくてたまらない。


胸がつまる


A「そうだよ…私が死んでしまえば……」




すると言いかけた私の口を
大きな指が触れた。


A「…！」


ロキ「……亜人の傷を
そんな風に心配してくれる貴方を
守りたいと……思うのはいけない事でしたか…？」



低く力のない声で
ロキさんが私の一言を阻止した。



A「…っ！」
私はロキさんの大きな手を握って
溢れかえる涙に顔をうずめた。



その暖かい言葉に悲しくなった



A「…ごめんなさい……嘘つきな私で
ごめんなさい………！」



守ってくれた貴方に…私は嘘をついてしまった

青髪は蔑まれない…なんて愚かな嘘を




ロキ「…いえ…気づいてました。
敵国の風習ぐらい…知って…ますから」

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