旅の最果てに [黎明のアルカナ]

episode 11 ページ14

A「……」
私は誰とも目が合わないように
ひっそりと早歩きで

王宮に繋がる長くて大きな坂道まで向かった。

青髪の私が パカルの人に貴族だと知られてしまうのは絶対に許されないこと



どこで兵隊が見てるか分からないのが
相変わらず怖い


と


その時だった。




ﾄﾞﾝｯ!



市民「きゃあ！」

A「！」

私が前を見て歩いていなかったせいか
坂を下ろうとしていた人にぶつかってしまった。

その人は尻もちをついて
私はよろけた。


A「すみませ…！
大丈夫ですか！？」

とっさに手を差し伸べた時にその手を払われた。


市民「いったぁ……。ちょっと！

そんなマント被ってるから前が見えないのよ！顔見せなさいよ」


A(そんな…！)

そんな事…当たり前だけど絶対に出来ない。


そんな事したら青い髪がばれてしまう


市民「ちょっと！何突っ立ってんのよ
早くとりなさいよ。どーせ財布スるためにわざとやったんでしょ」

一気に全身の血の気が引いていく。

指先が冷たくなる


A「…っ！」
私は慌ててその場から逃げようとしたが
咄嗟にマントの端 を掴まれてしまい

逃げられなくなった。



市民「残念だったわね。」
と 同い年くらいの女の人は言うと
私のマントを脱がせようと引っ張ってきた。


A「いや！やめて下さいっ！」
私はあの時の恐怖がよみがえる。


また

あの薄暗い部屋に…私は
食べ物も何も口に出来ないで閉じ込められてしまうの？



嫌……嫌……！


幼かった私にもあんな罰が下ったのだから
今度ばれたら殺されてしまう



市民「しつこいわね！」
彼女はそう怒鳴った次の瞬間に
私のマントを力強く引っ張った。

A「っ！」
私の手からはマントが離されてしまい

中で封印されるように隠れていた
長い髪が風に揺れた。



影に耳元にある宝石が光ってうつる

A「……っ！」
私は必死に逃げた。


ああ…もうこの国にはいられない


市民「あ…！待て！待ちなさい！
誰か！あの青い髪の女掴まえてっ！」

後ろからそんな怒鳴り声がして


周りの人達は私を見てざわついた。

市民「おい！あの宝石…王族じゃないのか！
青髪だぞ！」


市民「嘘だろ！」


私はもう何も考えられなかった


もう頭が真っ白で



呼吸が苦しい

A「………はあ…っ……はあ…っ…！」


逃げなきゃ

兵隊にばれてしまう前に

すると 走って向かっていた先には
市民の中の男の人が
私に向けて弓を向けてきた。

市民「動くなっ！」

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