検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:9,292 hit

episode 9 ページ12

すると同時に

まるで幸せな時間を終わらせてしまうかのように時計台の鐘が鳴り響いた。


気づけばもう針は6時を指していた。


7時の食卓までに帰らなければ
私がこっそり王室を出ていっていることがばれて

一度とんでもない目に遭った事があった。


3日間…当時5才だった幼い私は
薄暗い部屋に1人で閉じ込められて
どれだけ泣き叫んで謝っても許してくれなくて
扉は永久に開かなくて…その恐怖はずっと忘れられない。



今だって…怖い


出来れば帰りたくない


A「えっと…私…そろそろパカルに帰りますね」

私は嫌な顔を見られないように精一杯笑顔でそう言ったつもりだったが
その笑顔が引きつったのが自分でも分かった。



同時にロキさんと目がかち合う


A「…っ!」


心の内を読まれてしまったような気がして
怖くてつい彼から瞬時に目線を逸らしてしまった。

動揺のあまりか脈打つ鼓動が自分の中で響いた。


ロキ「…」




今日はどんな地獄が待っているのだろう


そう考えただけで
情けないことに手が震えてしまう。



私が負けちゃ駄目…。
と言い聞かせてもどうしても怖い



ロキ「…失礼ですが
パカルではその髪色を蔑まれたりはされないのですか?」



A「っ!」


彼の唐突な質問に思わず驚いて
心の中を読まれてしまっているようで怖くて


咄嗟に嘘をついてしまった。


A「いいえ!
パカルでは青は貴重な色なので
黒と同じ扱いを受けるんですよ」

と咄嗟にごまかしたが
こんなすぐに嘘だとばれてしまうような
酷い嘘をついたのは初めてだ。


けどこの人達にみっともない姿を知られたくなかった。

可哀想だなんて同情されたくなかった



A「その…だから…大丈夫ですよ!」

必死に向けた笑顔に
ロキさんは同じように笑顔で「それは良かったです」と微笑んでくれた。


馬鹿な私は
彼が嘘を見逃してくれていたことも知らずに
ほっと胸をなでおろした。


A「それでは また明日の3時に」
私は2人に笑顔を向けた。


ハリー「えー!お姉さん
明日以外にも来てくれる?」

ハリー君がもの惜しそうな顔でそう言ってくれたのが嬉しくて 幸せだった。



A「もちろん!
私もハリー君に会いたいな」

私がそう言うとハリー君は嬉しそうに
「ハリー君だって!」と照れてくれた。



私はやがて地獄に向かう入り口へ1歩1歩向かって行った。

episode 10→←episode 8



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (20 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
28人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

まんじゅう - 子ねこさん、本当にコメントありがとうございます…!!本当にすごく嬉しくて励みになりました!子ねこさんのことが大好きです!本当にありがとうございました!更新が遅れてしまってすみません汗 (3月16日 21時) (レス) @page25 id: c2801811dd (このIDを非表示/違反報告)
子ねこ(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください! (2017年8月18日 7時) (レス) id: c1c8e0d2e6 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅう - ももさん» ももさん本当にコメント下さってありがとうございました!!おおお!ロキがかっこいいだなんてありがとうございます!目指していたところなので凄く嬉しいです!はい!これからも頑張りますね!本当にコメントありがとうございました! (2016年10月18日 19時) (レス) id: ea9e0a7961 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅう - 香音さん» はい!分かりました!香音さんの素敵なアドバイスのとおりナカバと交流させますね!コメント嬉しいです!ありがとうございました! (2016年10月18日 19時) (レス) id: ea9e0a7961 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅう - 香音さん» 香音さんコメント本当に嬉しいです!!ありがとうございます!前からコメントして下さってましたよね!?本当におくれてすみません!ありがとうございます!ロキキャラ崩壊してないか不安だったので凄く嬉しいです! (2016年10月18日 19時) (レス) id: ea9e0a7961 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まんじゅう | 作成日時:2015年10月24日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。